第12話

車内の様子に目をそらす。


自分を痛めつける男たちを見ているのは癪だ。



辺りを見渡すと、どの窓も黒いカーテンで塞がれている。




椅子は全部倒してあり、車の中とは思えない程、広く思える。




『絶対、ヤられたりするもんか』



今の私の心境に恐怖なんて微塵もない。


あるのは、怒りと理性だけ。





私は、『ファルコの狂犬』の娘だ。





暴力に屈しない。


偽証に騙されない。


カネに惑わされたりしない。





こんな社会のゴミに、私の何も奪わせやしないし、実際奪えやしないだろう。








運転席と助手席の二人の男は無言。


見張り役らしい。




『総勢5人か…』




さっきまで、車は走って移動中だったが


今はどこかに停まっているいる様だ。





頬にべちゃっとしたものが当たった。


言うも躊躇う卑猥なモノの正体の全貌に辟易する。




『気持ち悪っ』




車内を引きずり回される度に、手足にごつごつ物や紙くずが当たる。




避妊具のパッケージやローションのボトル等の卑猥な玩具。





どうやら、普段からそればっかりやってるヤり専門(レイプ)のゴロ付きらしい。

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