第4話
「いらっしゃ~い」
割と怒ってやって来た、白夜事務所。
珍しく頬に切り傷を作って、超絶眉間に青筋立てて目だけ笑ってないランファンさん。
「ただ今、戻りました」
「お帰り、私の可愛い腹心」
2人掛けのソファーが向かい合う応接セットの上座で、ランファンさんは待ち構えていた。
「まぁ、掛けなさい」
「……」
「……」
私とウェイは無言でランファンさんの反対側のソファーに二人並んで座った。
レイファはランファンさんへの敬意を表すかの様に、ランファンさんの座る斜め後ろに待機する様に姿勢を正して立ち尽くした。
「ウェイ、まず、弁解して? これ、昨日の夜、事務所の前に落ちてたの」
そう言ってランファンさんは『白夜』の所在地が記載されたメモ用紙を差しだした。
「これが何か?」
「白々しい。13歳のほとんど堅気の子供になんて事させんのよ」
よく意味が分からなかった。
昨日『白夜』で何があったんだ?
「貴方が、彼女に何もしなければ済む話では?」
「あんた相手に、クーデター起こしてあげようか?」
「もう、起こされている様な物です。最初から全部仕組んでたなんて、酷すぎる」
確かに、私も穏やかじゃない。
事と次第によっては、香港に行く位穏やかじゃない。
否、多分、近日中に香港に行っちゃうおう。
「あんたその仕組みにまんまと乗っかって、サクラのカラダを自分の物にしておいて、今更何言ってんの? コ○スわよ?」
「……貴方には言いませんが、サクラさん」
憎らし気にランファンを睨んでいたウェイが突然、座ったまま私の方に身体を向けてさも真摯な顔つきで言った。
「すみませんでした」
「……死ね」
私がウェイの戯言に直感でそう返すと、その場はすっかり静まり返った。
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