第3話

「どうして、僕の屋敷に来たんです?」


「隼 桜(スゥン イー)の居場所は、何処に居たってランファン様なら、分かるからよ」


「嘘!」


「ヒントあげる。頭隠して尻隠さず。参考に考えて原因を究明出来ない限り、『釈迦の手の平の孫悟空』だからね。クスっ」



「ムカつく!!」



頭の中で計算してみる。



まず、事の整合性が、滅茶苦茶に矛盾している。



「大体、レイファが生きているはずない! ハルキがトドメを刺して警察に捕まったのに!」


「生きているけど?」



「彼女のお兄さんは、貴方は命乞いしなかったと言ってましたが?」


「しないわよ、誰があんなロクデナシ」



「ハルキはロクデナシじゃない!」


「ハルキに外界から隔離されて生きてたのはダレ?」


「ハルキになら何をされても良い」


「ゴメン、ロクデナシにロクデナシがロクデナシたる所以(ゆえん)から説明するのメンドイからパス」



あれ、割と本気で今まで自責の念に駆られて生きて来たのに……。




目の前に自責専用ゴミ箱あったら、バッドでタコ殴りにしてから遺棄しそう。



レイファを先頭に、ウェイと私が横並びで後を追うかたちで屋敷を出ると、レイファは屋敷の前の路肩に路駐している車を指さした。




ヨーロッパ車(フランス)のプジョーだった。




エンブレムが、小さな猛獣が前脚を天に上げているのが特徴で敢えて日本風に説明しするなら、横向きでシーサーが前足上げたところを全体的に描写した様な感じだ。



通称『猫足』と呼ばれる独特な技術を持ち、足回りが滑らかななのが特徴である。



車に近付き運転席のロックボタンで、ロックを解除した途端、ウェイは言った。



「貴方が本物なら、気が立つとすぐ運転荒れるから冗談じゃない。 僕が運転します」


「は?」


「いいから、どいて」



そう言ってウェイは、レイファを押しのけ運転席に乗り込んだ。




レイファは納得行かなさ気だったが、さっさとウェイが運転席に乗ってしまうと諦めて運転席の後ろのドアを開けた。




なので、私は助手席の後ろの席のドアから、後部座席に乗り込んだ。



「……」



レイファはこちらを一瞥したが、無言だった。



「イジメですか?」



ウェイは、抗議した。



「助手席座ってあげれば、隼 桜(スゥン イー)」


「遠慮するわ。貴方の車でしょ、これ。どうぞ」




言い合ううちに、自然とレイファと睨み合いに突入した。


ウェイは、頬を引きつらせながら車を発進させ、白夜の事務所へと向かった。

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