第4話

喧嘩に強い、悪友みたいな親友がいた。


でも、ヤクザの若頭と結婚しちゃってから会ってない。


最後に会ったのは、お姉ちゃんの葬式の時だったか、高校卒業の時だったか……。




好きなだけ、ヤラれてやったんだから、帰って良いだろう?


そう思って、身体を起こすと腕を掴まれた。



「トイレか?」


「違う」




「喉が渇いた?」


「違う」




「帰りたい?」


「イエス」




「かえさない」


「……what」




「何で英語」


「思わずよ」



男が掴んだのは左手だった。


私の小指を口に含み、優しく前後に愛撫した。



「ボクを置いて行かないで……」


「キモ」



私は20歳。


男は10以上歳上の男に見えた。

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