第5話

両親は仲が良かった。


そして、とても貧乏だった。


高校卒業を目前に、学校で問題を起こして、ヤクザの家に家出した『姉』を二人は勘当してしまった。





「イタイ……お願い、もうやめて」


「悪い。思いっきりやっちまった」





私は手荒に抱かれてよがる程、底辺の暮らしはしていない。


奉仕もない、愛もない、心もない。


そんな営みだけでも、充分、男は悦んで来た。


それで、手に入らなかったものは、今の所ない。


だから、気持ちイイ必要なんてなかった。


勿論、気持ちイイ振りする必要もだ。






「不感症なのよ」


「抱いてりゃ分かる」





じゃぁ……何で抱く。


あっ、そっか。


ヤッてりゃ、気持ちがイイからか……。




無感動に抱かれる私の上で、嘲笑いながら、私を抱く。


『私の全てを手に入れた』みたいな顔をするのは止めて。


私は、誰のモノでもない。

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