首都色に染まって
私は今、首都名古屋にいる。高校三年生の私は、
「ちょっと、咲、聞いてる?」
おっと、いけない。ぼーっとしていたから、坂本さんの言葉を聞いていなかった。
「せっかく名古屋に来たんだから、観光もしようよ」と坂本さん。
「それもいいな。熱田さん、なんかどうだ?」
明石くんが提案するが、ピンとこない。
「ねえ、熱田さんって? そんな珍しい名前の友達がいるの?」
その瞬間、場が凍りついた。え、わたし何か爆弾発言しちゃったの!?
「そうか。熱田神宮って言えば分かるだろ?」
さすがに私もそこまでバカじゃない。「知ってるに決まっているじゃない」と言い返す。
「こっちじゃあ、愛称として『さん』で呼ぶんだよ。『お伊勢さん』とかな。関西でも『飴ちゃん』とか言うだろ? あれと似た感じじゃないかな。関西のことには詳しくないけど」
「へぇ、そんなんだ」私は一つ賢くなった気がした。
「電車を待つ間、少し時間があるから『名城線ゲーム』しようぜ!」
名城線ゲーム!? 東京で言う「山手線ゲーム」のことだろうか。
「じゃあ、名城線の駅名で勝負よ!」坂本さんはやる気まんまんだ。
大丈夫。私は名古屋に来るにあたって、色々下調べをしてきた。駅名もバッチリだ。
「俺から行くぞ。
「
「
そうして、ゲームが進んでいくうちに駅名が尽きてくる。結局、明石くんの負けで決着がついた。「
「もうすぐ、電車が来るな」と明石くん。
「いよいよ、『熱田さん』に行くのね」私は早速、覚えた言葉を使ってみる。
「そうね。でも、咲。無理にこっちに合わせなくてもいいのよ」
いや、来年には名古屋に来るのだから、慣れなくてはならない。もしかしたら、こうして都会の色に染まっていくのかもしれない。
首都 名古屋爆誕 雨宮 徹@クロユリの花束を君に💐 @AmemiyaTooru1993
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。首都 名古屋爆誕の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。