第30話
〜星宮華恋とのやりとり〜
“んがー。疲れた〜”
“急にどうした?”
“今日でドラマの撮影全部終わったよ〜。加賀美くん褒めて〜”
“おう。お疲れ様”
“ありがと〜。まだまだドラマの宣伝のためにいろんな番組出なきゃいけないから予定はぎゅうぎゅうなんだけど…とりあえず肩の荷が降りた感じだよ〜”
“よかったな。ドラマの放送楽しみにしてるぞ”
“見てくれるの?嬉しい。内容めっちゃ女の子向けだけど、加賀美くんでも楽しめるかな?”
“恋愛ものは得意じゃないが、流石に見ないわけにはいかないだろ。セリフのない端役とはいえ、出演したわけだしな“
”加賀美くんが出るエピソードは多分三話あたりぐらいだから、割とすぐだと思うよ。あ、そうだ。一緒に鑑賞会でもする?“
”機会があればな“
”もー。それ絶対にやらないやつじゃん。私は本気で言ってるのに“
”ドラマの放送期間確認したけど、次の定期テストの時期と被ってるぞ。だから多分鑑賞会は現実的じゃないな。それに星宮は芸能活動で忙しいだろ“
”まあ、そうなんだけどね〜。でも時間があれば鑑賞会してみたいよ〜“
”時間があればな“
”本当?約束だからね。ドラマ放送してる期間の予定が決まったら加賀美くんに連絡するね“
”わかった。気長に待ってるよ”
“やたー!楽しみなことひとつ増えた〜!”
“まだ予定が合うかはわからないけどな。多分次のテストでも俺は有栖川の勉強見てやらないといけないと思うし”
“えー、そんなー。有栖川さんの面倒見るのもいいけど、私も加賀美くんから勉強習いたいよ!私だってこの間のテスト、有栖川さんと平均点そんなに変わらなかったし!”
“それ誇らしげに言うことじゃないからな。星宮、芸能活動があるからある程度仕方がないとはいえ、油断してると次のテストでワンチャン有栖川に平均点抜かされるんじゃないか?”
“う…可能性あるかも…”
“まぁ有栖川みたいに赤点取って留年するみたいなことはないにしても、今後の進路のこと考えたらやっぱりある程度勉強はしておいた方がいいんじゃないか?星宮、進学希望だろ?”
“痛いところついてくるね加賀美くん”
”偉そうに聞こえたらすまん“
“ううん、ごもっともな意見だよ。私、最近撮影のせいで授業の復習とかもあんまり出来てないし、次のテストは本気でやばいかもね”
”頑張れ。応援してる。まぁ、星宮ほどの知名度がある芸能人なら、推薦とかで有名大学にも入れたりするんだろうから俺たちみたいな一般人とは事情も違うんだろうけどな“
”あ、ちょっと!私そんなことして大学入るつもりないよ!ちゃんと受験するもん!芸能活動と学業は別だよ!大学入るために自分の活動を利用しようなんて考えたことないよ!!(星宮がぷんぷん怒るスタンプ)”
“すまん。軽はずみなこと言った”
“確かにそういう子は私の周りにもいるよ?でもSNSが発達して最近はそういうのすぐに叩かれちゃうから、実際は世間に思われてるよりもかなりハードルは高いよ”
“そうなのか。事情も知らないのに知ったようなこと言ってすまん”
“いいよいいよ。確かに芸能人だからって得する場面もたくさんあるしね。というか…このままだと私、本当に次の定期試験やばそうだよ。助けてよ加賀美くん”
“おう。勉強なら得意分野だから任せろ。少なくとも演技よりは助けてやれることがあると思うぞ”
“頼りにしてます!(星宮が両手を合わせて期待する表情のスタンプ)”
“それじゃあ、俺はそろそろ寝るから落ちるぞ”
“えー!早くない!?まだ11時だよ!?もうちょっと話そうよ!!”
“早めに寝ないと明日の授業に響くだろ”
“真面目すぎるよ!?加賀美くん高校生でしょ!?もうちょい夜更かしとか、悪いことしていかなきゃ!私なんてこれから寝落ちするまでドラマ見るつもりだよ!コンビニで買ってきたポテトチップスとか食べながら!!”
“それ太らないのか?体に悪いと思うんだが“
“体に悪いし太るかもしれないけどいいんです!撮影頑張った自分へのご褒美!”
”うちの妹も定期テストが終わるたびに同じことしてるな”
“加賀美くんの妹、確か桜ちゃんだよね。三年の時に一回だけ話したっけ?また会いたいな。元気してる?”
“元気だぞ。今中3だな“
”そっかぁ…桜ちゃんもうすぐ高校生なのか〜。ちなみに高校はどこにするの?“
”うちを受験するみたいだぞ“
”え、桜ちゃん東高校に来るの!?やったー!!“
”受かればな“
”桜ちゃん賢いから絶対に受かるよ!“
”まぁ受かるだろうな。ムカつくけど、あいつ勉強しないくせに何故かやたらと頭いいからな“
”加賀美くんだって頭いいじゃん“
”俺はむしろ自分では要領悪い方だと思ってるぞ。地頭の悪さを、勉強時間で補ってるタイプだな“
”えー、そんなことないと思うけどなー“
“そういや星宮、話変わるんだが、あの後三浦とはなんともなかったのか?”
“え?何が?”
“別に答えたくなかったら答えなくてもいいんだが、東高校での撮影の時に最後、三浦と言い合いになっていたのを思い出してな。喧嘩しているようにも見えたから、その後の撮影が大丈夫だったのかってちょっと思っただけだ”
“あー、それね”
“何かあったのか?”
“まぁうん、そうだね…えーっと…なんていうか…どうやって説明したらいいんだろ…”
“別に答えたくなかったら答えなくていいぞ。ただなんとなく聞いてみただけだ”
”まぁ、実を言うと事務所の人には言うなって言われてるんだけど…加賀美くんならいいかな“
”いやいや、待て待て。それ言ったらまずいやつなんじゃないか?“
”ここだけの話にしてね、加賀美くん。実はね、私…あの時、三浦くんに交際を持ちかけられてたんだよね“
”おいおいおいおいちょっと待てお前それまじでやばいやつじゃねーか!?“
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます