第16話
〜有栖川綾乃とのやりとり〜
“今何してる?“
”は?こんな時間に何?きもいんだけど“
”ちげーよ。ちゃんと復習してるかどうかの確認だ“
”してるし“
”本当か?返信随分早かったがスマホいじってたんじゃないのか?“
”いじってないし“
”嘘つけ。絶対にいじってただろ“
”決めつけんな“
”決めつけじゃない。根拠がある。お前、今日の3時間の勉強で、自分が何回スマホ触ろうとしたかわかってるのか?“
”はぁ?そんなの知るわけないじゃん“
”21回。十分に一回以上な“
”はぁ!?そんなに多いわけないじゃん。せいぜい3回ぐらいでしょ。勝手に盛らないで”
“自覚なしか。重症だな“
”うるさい。別に家にいる時ぐらい好きにしたっていいでしょ“
”認めたな。やっぱりスマホばっかりいじって全然集中できてないんだろ“
”出来てるから。勝手に決めつけないで“
”俺といる時ですらあの感じだから、一人でいる時なんて推してしるべしだな”
”だるすぎ。決めつけほんとウザい“
”勉強する時はスマホの電源落とせよ。あと、わからないところは考え込まずに一旦飛ばして、後でまとめて俺に質問してくれ。その方が効率的だ“
”じゃ、言われた通りに電源落とすから。邪魔しないで“
”おうよ。しっかり集中して勉強しろよ”
……1時間後……
“言い忘れてたんだが、明日は物理と化学をやるからな。数学の復習が終わったら、今からいう教科書のページの練習問題を解いておいてくれ。明日の放課後までにわからないところをはっきりさせておきたい。数学の復習で手一杯なら何もせずとも構わない。物理の教科書のページは〜で、化学は〜“
”邪魔しないでって言ったはずなんだけど?なんなの?”
“既読つくの早すぎだろ。お前、まさかさっきから今までずっとスマホいじりっぱなしだったんじゃないだろうな”
“うるさい。通知が出てきて間違って押しちゃっただけだから”
”なんの言い訳にもなってねぇよ。やっぱりお前、全然勉強できてないじゃないか。正直にいえ。家に帰ってからまともに1分も勉強してないだろ“
”なんでわかるのきもいんだけど“
”やっぱりそうか。だろうかと思った“
“その見透かした感じ、うざ”
“やっぱお前、一人で勉強するのは無理みたいだな。いっそのこと明日の朝早くに自習室で二人で勉強するか?”
“私朝弱いから無理”
“じゃあどうすんだよ”
“今やる”
“どうやって?お前誰かが見張ってないと全然集中しないだろ”
“通話繋ぐ”
“はぁ?”
〜有栖川綾乃からビデオ通話の申請が届いています〜
『見えてんの?』
『見えてる…って、ちょ、おま。なんだよその格好!?』
『は?別にただの寝巻きじゃん。髪が濡れてるのはお風呂上がりだから気にしないで』
『も、もうちょっと何か着た方がいいんじゃないか…?』
『今部屋のクーラー壊れててこれ以上厚着したくないの。てか、格好とかどうでもいいでしょ、家なんだし。いちいち口出ししてくんな』
『いや、そういうことじゃなくて…』
『いいから、あんたは私が勉強するとこ見張ってろ。スマホはここに固定しておくから。これなら文句ないでしょ?』
『え…ず、ずっとお前が勉強してるとこ見てろと?』
『そ。私もあんたに見張られてると思うと集中できるし。あんたも一緒に何か勉強したらいいじゃん』
『わ、わかったよ…』
『てか、あんたの部屋散らかってない?その後ろに刺さってる黒い剣みたいなの何?』
『ひ、人の部屋勝手にみんなよ』
『あんたが映すからでしょーが。てか、高校生にもなってそんなおもちゃで遊んでるの恥ずくない?』
『遊んでねーから!小さい頃のおもちゃを捨てずにとってあるだけだから!本当にそれだけだからな!?』
『え、冗談で言ったのに何その反応。もしかしてガチなわけ?』
『…っ』
『は?ちょっと…!あんた何自分の画面だけ消してんの!?』
『うるさい。よく考えればお前を見張るための通話なのにわざわざ俺の部屋まで映す必要ないだろ』
『あんたの顔がないと見張られてるって感じがしないじゃん!』
『お前がスマホに手を伸ばしたら、すぐに音声で注意してやるよ。いいからさっさと勉強を始めろ。眠くなってきた』
『まだ10時なのに眠いとかやっぱり子供じゃん。はー、しょうがないから勉強してあげるけどさー』
…十分後…
『おい、スマホに手が伸びてるぞ』
『うわ、本当に監視してる。きも』
『いやお前が言い出したことだろ。スマホ触らず集中しろ。まだ十分しか経ってないぞ』
『はー、だる。ビデオ通話なんてすんじゃなかった』
『集中しろ。スマホ触ろうとしてもすぐバレるんだからな』
『はいはい』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます