第11話    あのさ

野乃が「彼女と彼氏とか本当に必要なのかしら?」と疑問に思っていた。

香子が「確かにね?野乃もそう思っていたなんて珍しい事もあるもんね」と野乃に返事を返した。

道成が「お前ら女なんだから、いつか誰かの彼女になるとは思わないのか?」と尋ねた。

香子が「そんな事を想う訳がないじゃない」と道成の返事に答えた。

高子が「へー、人の話を平気で聞いている香子ちゃんには彼氏が出来るような気がしないけどね」と笑っていた。

香子が「失礼な。そんな風に高子さんは私の事を想っていたの?」と話し掛けた。

高子が「そうね。でも、私には道成がいる。道成がいれば私は何にもいらない」と誰にでも聞こえるような声で発表した。

香子は「道成、良かったね。本当に好きになってくれる人と出会えて」と嬉しそうにしていた。

野乃が「お姉ちゃん、何でそんなに怒っているの?」と香子の事を心配で声を掛けた。

香子は「だって、私達は、小さいころから泣いたり、笑ったりしながら切磋琢磨して私たちの事を見ていてくれたのに、誰も私たちの事を見ていなかったんだなって思うとショックでさ」と野乃に伝えた。

野乃が「本当にそうだよね?真剣に私たちの事を見てほしかったけど、もう、あの頃の私達じゃないんだよ」とはっきり気持ちを伝えた。

香子が「そうね。今の現実をはっきりと受け止めていかなければこの先生きていけないわよね」と野乃の話を聞いて、香子は今の自分の幸せを噛み締めていた。

高子が「ようやく邪魔者が消えたわね?」と凄く喜んで居る様だった。

そこに道成が居て「高子?お前、俺に何をしようって言うんだよ」と高子に迫った。

高子は「だって、道成は私の事を好きなんじゃないの?」と凄く疑うような目を向けた。

道成が「そんな事ある訳無いだろう。そんなに俺の事を好いているなら、俺の幸せぐらい考えてくれたって良いじゃないか」と高子の事を睨んだ。

高子が「私の事を道成が虐めようとしている。助けて、邦宏」と邦宏の背中に隠れていた。

邦宏が「あ?何でお前みたいに性格ブスな奴を好きになる訳が無いだろう?早く何処か行けよ」と追い払った。

高子は「みんなして、良いわよ。良いわよ。私は、他に理解してくれる人を探すから」といじけて皆の知らない場所に姿を消した。

香子は「あれ?此処に居た、高子さん何処に行ったか知らない?」と教室に戻るなり辺りを見回した。

道成が「あいつだけは知らないね。アイツは香子をこんなに苦しめて、何が楽しいんだか」と高子の事で少し愚痴っていた。

香子は「ううん。私がこれから先の事を何も考えて居なかったから悪かったしね」と高子の事を気にかけていた。

道成が「そうか?俺も香子と野乃に嫌な思いをさせて申し訳なかったし、もう少し気を遣うべきだった」と香子に優しい笑顔を見せた。

香子は「ありがとう。私達の事を気に掛けてくれて嬉しいよ」と道成に返事を返した。


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