第9話
「来週から幼児教室に通うから」
奈央は、帰宅した陽介にさりげなく報告した。
「幼稚園受験の塾? 気にするなって言ったのに」
「簡単なリズム運動や、言葉遊びをするだけよ」
本当は違うけど……。
光希が名門幼稚園に入園できるほど優秀になったら、
「凄いでしょ。合格間違いなしだから受けさせて」
と言うつもりだ。
そこまで延びなかったら「母親のせい」だからナイショのまま終わらせる。
でも塾長が言ってた「子供への愛情と協力」には自信がある。
必ず、必ず、必ず、入園させてみせる。
陽介は軽い感じで言った。
「ま、集団活動に慣れるならイイかもね」
光希に友達が少ないことを気にしていたようだ。
陽介のOKが出た。ついに『お教室通い』が始まる。
ドキドキしながら『お教室通い』と検索してみると……、
「えっ!?」
最初に出たのが〈服装〉だ。
子供は〈運動に適したフォーマル〉って何?
保護者は〈カジュアルはNG〉ってことは、毎日スーツ?
確かに、生徒たちは「よそ行き」みたいな服を着ていた。
「さすがは詩織さんが推薦するお教室」と思ったけど、
通うなら、光希も同じ服を買わなくては!
それに自分の服だ。
保護者というか、ママたちはシンプルで上品な服装だった。
詩織や美咲も通うのに、変な服は着られない。
よく調べると、靴やカバンにも暗黙のルールがある。
奈央の『お教室通い』は、買物から始まった。
かなり高額になったが仕方ない。
これは必要経費だ。
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