第3話 人生を歩いて

瑞穂が「ねぇ?私の本知らない?」と夏海に声を掛けて訊ねた。夏海は「知らないよ。本が何処に行ったかは本に聞かないと分からないよ」と適当な返事を返した。瑞穂が「え?本に聞くってふざけた事を言わないでよ。ねぇ?本をきちんと探してよ」と少し注意をして夏海に話をした。夏海が「はい、はい。本を探せばいいのね。分かったから」と瑞穂と話をしていると夏海が「あったよ」と言って、本を手に持って瑞穂に本を渡した。本は机の下に置いて有り、瑞穂が探しても暗くて何処にあるか分からなかったのが不安で、やっと本が見つかって安心していた。瑞穂が「夏海、ありがとう。この本がお気に入りだったから無くなって心配していたの。本が見つかって良かった」と安堵していた。夜になって、夏海がテレビを見て「あははは。このテレビ楽しいね。この芸能人知っている?」とテレビを指さして瑞穂に声を掛けていた。瑞穂は「そんなの知らないわよ。興味が無いから声掛けないで」と冷たい目で夏海を見ていた。夏海が瑞穂の態度に「もう、知らない。勝手に本でも読んでいたらいいじゃない」と

瑞穂にムッとした顔をして声を掛けた。夏海は瑞穂に背中を向けてテレビを見ていた。夏海はそのまま、夜中電気を点けて一階で寝て居た。佳代子が「夏海、夏海。起きなさい。何でそんな所で寝て居るの?寝る時は一階じゃなく二階で寝なきゃ駄目よ」と注意されて起こされた。夏海は「うん?おはよう」と佳代子に挨拶をしてくしゃみを一回した。瑞穂が夏海の様子を見て「風邪を引いたの?そんな所で寝るから風邪を引くのよ。身体ぐらい大切にしないと後々大変よ。気を付けるのね」と夏海に声を掛けた。その後、夏海は仕事に向かいレジ打ちの仕事に精を出していた。夏海が「二千三百四十五円です。こちらにお金をお願いします」と言ってトレーを出して、お客様のお金をレジに入れて、レシートをお客様に渡した。夏海がお買い物を終えたお客様に「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています」と挨拶をした。夏海はピアマートと言うコンビニで働くようになって居た。以前は配達業もやって居たが、時間にルーズな夏海は配達業を辞めて、時間を決めて働けるピアマートと言うコンビニで働きたいと言うのが仕事の決め手だった。仕事を始めてから夏海は、万引きをしていた男子学生を捕まえて警察に通報し、勇敢に立ち向かった時が有った。それからは、警察からお手柄と言う事で表彰状を貰っていた。夏海は働いてから五年が経とうとしていた。そんなピアマートも何年か経ち、取り壊されることになった。その取り壊されるピアマートを見て今までの思い出が脳裏に浮かんでいた。夏海は「ただいま」と悲しそうな声で家に帰ってくる姿は寂しく見えた。




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