第15話

 しばらくして、四人は居酒屋を出た。


「城崎んとこで飲み直そうぜ」

 そう宮間が言ったので、城崎の自宅へ向かって歩いていた。


「そういえば、その雪乃ってどんな娘なの?」

 凛子が城崎にたずねた。城崎は無視するように何も答えなかったので、千草が代わりに答えた。

「まあ普通の娘だよ。妙なところにやる気満々で、イケメンへの執着が謎にある、ごく普通の娘」

「あんた絶対普通って思ってないでしょ」

 凛子は呆れた顔で言った。

「もしかして結構ウブな娘なんじゃない?処女とか?キスもまだだったりして」

 酔っ払っている宮間が、デリカシーの無い事を言い出し、凛子に睨まれた。

 千草は困ったように誤魔化す。

「あー、そこまでプライバシー的な事は」


「おい、宮間」

 城崎は歩く足を止めて、宮間を睨みつけた。

「俺の女のキス、想像すんじゃねえよ」

「俺の女って言っても、もうすぐ振られるんじゃ……いでででで」

 宮間は城崎に頰をキツくつねられた。

 凛子にも叩かれる。

「あんたは本当に……デリカシーってもんが無いの?」

「だってよぉ」

「……城崎にとってキスはセックスなんだから、そりゃ想像されたくはないでしょ」

 凛子が城崎に聞こえないように宮間を叱った。

 千草は苦笑いしながら言った。

「まあ、そんな擦れてない普通の可愛らしい娘だよ。見た目的には、そうだな、あそこの城崎のビルの前にいる女のコに似てる……あれ?」


 城崎のビルの前で、男女が言い争っていた。

 その女の方をよく見ると

「雪乃だ。アイツ何してんだ」

 舌打ちをしながら、城崎がビルに向かって駆けていく。


 二人も慌てて後を追った。

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