第14話
「俺ってそんなにインテリ臭い?」
そう笑う声がして凛子が振り向くと、苦笑いを浮かべた千草が立っていた。
「あー、千草来てたの?」
「うん、城崎に呼ばれてね」
千草はわざと凛子の隣に座ってみせて、烏龍茶を注文した。凛子はあからさまに嫌そうな顔をした。
「で?城崎何?」
「雪乃と会わせろ。俺からじゃ全然電話に出ねえ。千草からなら連絡つくだろ?今から呼び出せよ」
偉そうな態度の城崎に、千草は呆れた顔をした。
「横暴。そんなんだから頭突きされるんだよ」
「ああ?」
「俺は呼ばないよ。むしろ今日、無理なら別れることをお勧めしてきた」
「はっ!?なんだそれ。つーか、何の権限があってそんな事言ってんだよ」
城崎は睨みつけた。千草は一切動じない。
「黙って突っ込ませろ、なんて言うような人に、大事な後輩は任せられないでしょ」
「はぁ?あんたそんな事言ったの?」
凛子がドン引きしながら城崎に言った。
「無い。それは無いって。頭突きで済ますとかその子超優しい。私だったら目をとりあえず一つ潰してたわ」
凄い剣幕で言う凛子に、宮間は小声で囁いた。
「ね、ねえ、突っ込むって……あの、城崎の場合は、単にディープキスなんじゃ……」
「そういう問題じゃないの!」
凛子は宮間を睨む。
城崎は、大きく舌打ちをして見せた。
「ごちゃごちゃ煩かったからな」
「うわっ、サイテー」
凛子は顔を顰めた。
「うるせえな、我慢できなかったんだよ」
城崎はそう言うと、ふと、顔をそらした。
「我慢?」
千草が聞き返したが、城崎は何も答えなかった。
「よくわかんないけど、とにかく、俺は呼び出したりしないから。大人しく雪乃ちゃんからの連絡を待つことだね」
「なんか気に入らねえなぁ、テメェのその保護者面」
千草と城崎は睨み合う。
「まぁまぁ二人共落ち着いてよ。ほら、とりあえずゆっくり飲んでさ」
宮間が慌てて二人の間に割って入る。
「その、雪乃ちゃん?って子の事はゆっくり考えようよ。城崎もさ、無理に今日じゃなくてもいいだろ?時間が解決することだってあるし」
宮間の言葉に、城崎は面白くなさそうにそっぽを向いた。
「大体さ、来る者拒まず去るもの追わずの城崎じゃないか。会いたくないって言ってる子に無理やり会おうとするの、らしくねえじゃん。ほらビールおかわりしようぜ」
「……分かったよ」
城崎は舌打ちをする。
「そうやって宮間がいつも甘やかすから。偶には千草みたいなのにガツンと言ってもらわないと、裸の王様になっちゃうわね」
凛子は呆れたように、千草に言う。
千草は苦笑いした。
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