第3話 独立をして

瞬は小説を書いていたが、その名が知れて有名な作家になっていた。そして有名な作家さんとして活動をするのだが、出版社から「あの、すみませんが、私達は作家活動を始めている方々に出版社の近くで利用しやすい環境を整えて貰いたくて東京の千駄ヶ谷へ引っ越す事も考えて欲しいのですが、いかがでしょうか?」と電話で瞬は出版社からのサービスを聞いていた。「そうですかぁ。分かりました。私は良いですけど、自宅には家族も居るので一人で暮らすとなると、家族が心配ですし、一人暮らしは無理かなとは想います」と瞬が出版社に電話で話を付けた。出版社が「分かりました。大変ですよね~。まぁ、考えておいて下さい」と言う話で電話が終わった。出版は、和み出版と言う名前で出しているところで和み出版でコンテストを開催していて小説の原稿を提出していた。一人だけ出版が出来るコンテストに瞬が当たった。瞬は「やった~。当たると思っていたけど、認めて貰えて良かった」とコンテストの結果に大喜びしている。瞬がコンテストの結果が紙に書いて有って佳代子に見せた。佳代子が「すごいわよ。こんな長編で小説が書けるようになって居たのね。偉いわ」と瞬の事を褒めていた。瞬が「これから、僕の人生はどうなって行くのかな?小説も、小説を書く自分も環境も変わって行くのかな。何だか心配だなぁ」と言う不安が一層気持ちを暗くさせた。佳代子が瞬を見て「大丈夫よ。きっと夢は叶うわ。信じて居れば小説の夢の扉も何だって開ける筈だから、瞬さんは、そのままの自分で居ればいいのよ」と瞬の気持ちを気遣い、慰めていた。瞬は佳代子の手を握って「ありがとう。僕も頑張るから佳代子も僕と同じように頑張れ。佳代子と僕は例え離れていてもずっと一緒だからな」と話をして瞬は、東京の千駄ヶ谷まで単身赴任で行く事になった。それからは誰とも会話をせず一人で家に居て、小説を書いていた。瞬は小説を書いていると自分が、まるで小説の中の登場人物として別にいるような感じや、その登場人物の感情になって話をしているみたいで楽しかった。たまに家の人と会いたいとは、人と話をしたいなと思う事が有る。父親や母親に会いたいなと思うが、連絡を取ろうとしても勇気が出ない。そうすると佳代子しか頼りが居ない。瞬が佳代子に電話を掛けて「今、寂しいから会いたいよ。お願い、僕と会ってくれないか?」と明日の昼間の十三時に会う約束をした。その次ぐ日、会う約束をしていたが瞬が寝坊してまだ家で寝て居た。佳代子がピンポンと玄関のチャイムを鳴らして玄関の前で待って居た。瞬が「あ、しまった。寝坊して会う約束をしていたのに寝坊した。待って居て。今行くよ」と言って、身体を起こして立ってから玄関へと向かった。ガチャンと鍵を開けて玄関を瞬が開けた。佳代子が「十三時よ。十三時になっても来ないから、待ち合わせ場所で雨降って居て待てなくて家に来ちゃったよ」と合羽を着て長靴で鞄を持ち玄関に傘を立てて家の中へ入った。タオルで雨雫を拭いて、合羽をハンガーに掛けたら掃除機を部屋の周りと、玄関掃除を始めた。瞬が「掃除をしてくれてありがとう。僕は掃除をあんまりしないから出来なくて困っていたよ」と言うと、佳代子がテーブルに座って、瞬が佳代子にお茶を出した。「一人の家で狭いけど、お茶どうぞ」と言ってお茶を出すと佳代子がお茶を飲み干した。その後に出版社の担当編集者の塚本さんが瞬の家に尋ねて来た。瞬に担当編集者の塚本が「先生、小説の原稿用紙は順調ですか?小説の原稿用紙が終わったものからお預かりします」と尋ねて来たので、瞬は「そうですね。とりあえず話の完結で四枚終わりました。よろしくお願い致します」と編集担当者の塚本に小説の原稿用紙を渡した。編集担当者の塚本が「はい、ありがとうございます。この調子で次回もお願いします」と言って瞬の家の玄関を閉めた。その様子を見て佳代子が「小説いっぱい書くなんて大変ね。こんなに書くのにも時間が掛かるし、苦労が絶えないわね。私だったら出来ないわ」と瞬の今も状況を理解することすら難しかった。瞬が「ボチボチ頑張って居ると思うし、このまま自分を信じて頑張れば、上手く行くと思うよ。そっちの仕事は、どう?」と聞いて来たので、佳代子は「まぁまぁね。家の事もやって居るから疲れるわ」と話をしていた。瞬が「そうだなぁ。どんな事をやって居ても、世の中大変だから疲れるよ。お互い大変だなぁ」と佳代子の気持ちに共感し、瞬は気持ちが和んでいった。その後、佳代子は娘達が居る家に戻って行った。

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