第10話

 顔が好き。ちょっとわたしを小馬鹿にするような、憎らしい目とか。片眉を上げて話す癖、笑うとできるえくぼの深さとか。声も好き。人混みの中、7割くらいで聴き分けられる。わたしの名前を呼ぶ声、録音して眠る前、毎晩聞きたい。手が、仕草が、右上がりの字とか、足音が、そういった一切合切が。悔しい。こちらばかりが想っているようでずるい。お揃いがいい。そうして、わたしはぴたり、キミに覆いかぶさる。


「ふふ、重い?」

「ん、ちょうどいい」


 わたし達の恋は4行では足りないくらいだ。

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わたし達の恋なんて4行くらいだ。 ぬりや是々 @nuriyazeze

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