第3話 もっと綺麗だよ

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:25

身長:176


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:25

身長:162




現在の時刻は夜の8時である。

水樹みずき太希たいきが作るナポリタンを食べに太希の家に来ていた。


太希が作るナポリタンはなかなか旨い。


「太希君~。まだ~。」


そうリビングの机の椅子に座っている水樹が大きな声を出す。


「もうちょっとだから、大人しく待ってろよ。」


そう太希が返事をする。


「私のは大盛りでお願いね。

太希君のナポリタンは大好きだから。」


そう水樹が子供の様にワクワクした声で注文する。


「分かってますよ~。お客さん。」


そう太希は言葉を返す。



それから約5分ほどでナポリタンは運ばれてくる。


「よっ。待ってましたぁ。大将。」


そう水樹は機嫌よく声をげる。


そんな水樹の前に大盛りナポリタンが置かれる。


「それでは、いただきます。」


そう言って水樹はナポリタンを1口食べる。


その美味しさに水樹は体をバタバタさせる。


「美味しい。」


そう水樹は笑顔を太希に向ける。


その水樹の笑顔に太希は満足そうに微笑む。


「それは良かった。」


そう答えたのちに太希も1口食べる。


その味に太希自身も満足した様に頷く。


食事は30分ほどで終わった。


「いや~ぁ。今私のお腹には幸せがつまってますなぁ。」


そう言いながら水樹は自分のお腹をさする。


「太ってもオレに文句言うなよ。」


そうお皿を流し台に置きながら太希が言う。


「言わないよ~。太希君が太った私を嫌いだって言わないならね。」


そう水樹がソファーに体を預けながら言葉を返す。


「今さら体型なんかでお前のことを嫌いにはならんよ。」


そう答えながら太希は水樹の隣に座る。


その言葉が嬉しくて水樹は太希に体をせる。


「ありがとう。私も太希君がどんなに太ってもずっと好きだから。」


そう言う水樹に少し目線を向けて太希は「オレは太る気なんかねぇよ」と言葉を返す。


すると水樹は顔を上げて目線を太希に向ける。


「私だって太る気なんかないわよ。」


そう少しほっぺたをふくらませて言い返す。


「それはわるぅござんした。」


そう太希は適当な謝罪をのべる。


その後も2人は仲良くソファーでのんびりと過ごす。



「ねぇ。太希君。」


「ん?」


「太希君は運命って信じる?」


そう唐突とうとつに聞かれて太希は考える。


「…あんまり…信じないかな。」


そう太希は答える。


「私は信じるよ。」


そう水樹は力強く言い切る。


「なんでだ?」


そう太希が聞くと水樹は理由を話し始める。


「だって、私と太希君の出会いが運命だもん。彼氏に捨てられて自殺を考えてた女を助けたのは、彼女に振られた傷を癒しに来た男。似た傷を心にったその男女は今では幸せいっぱいのカップルなんだよ?これを運命と言わないなら、なんて言うの?」


そう水樹は強い視線を太希に向けながら言う。


そんな水樹の視線から太希は目線を外すと「それは運命かもな」と答える。


その太希の答えに水樹は満足そうに微笑む。


「私達の運命は幸せな運命だね。

きっと、この運命はずっと長く続くよね?」


そう水樹は太希に問う。


「…あぁ。続くよ。絶対。」


そう太希は声を強くして答える。


その太希の言葉に水樹の心は安心する。


「ねぇ、太希君。」


「ん?」


「今度の休みの日。あの海で夕陽を見ようよ。私達が出会った日も見たでしょ?

あの海で綺麗な夕陽。」


そう水樹に言われて太希は当時の綺麗な夕陽を思い出す。


「きっと…今見たら…もっと綺麗だよ。」


そう水樹が遠い空を見つめるように呟く。


そんな水樹の横顔を見つめながら太希は約束する。


「あぁ。行こうか。」


だが…残酷にもこの約束は果たされない。


この約束をした3日後。

水樹は事故で亡くなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る