第3話 もっと綺麗だよ
登場人物
性別:男
年齢:25
身長:176
性別:女
年齢:25
身長:162
現在の時刻は夜の8時である。
太希が作るナポリタンはなかなか旨い。
「太希君~。まだ~。」
そうリビングの机の椅子に座っている水樹が大きな声を出す。
「もうちょっとだから、大人しく待ってろよ。」
そう太希が返事をする。
「私のは大盛りでお願いね。
太希君のナポリタンは大好きだから。」
そう水樹が子供の様にワクワクした声で注文する。
「分かってますよ~。お客さん。」
そう太希は言葉を返す。
※
それから約5分ほどでナポリタンは運ばれてくる。
「よっ。待ってましたぁ。大将。」
そう水樹は機嫌よく声を
そんな水樹の前に大盛りナポリタンが置かれる。
「それでは、いただきます。」
そう言って水樹はナポリタンを1口食べる。
その美味しさに水樹は体をバタバタさせる。
「美味しい。」
そう水樹は笑顔を太希に向ける。
その水樹の笑顔に太希は満足そうに微笑む。
「それは良かった。」
そう答えた
その味に太希自身も満足した様に頷く。
食事は30分ほどで終わった。
「いや~ぁ。今私のお腹には幸せがつまってますなぁ。」
そう言いながら水樹は自分のお腹をさする。
「太ってもオレに文句言うなよ。」
そうお皿を流し台に置きながら太希が言う。
「言わないよ~。太希君が太った私を嫌いだって言わないならね。」
そう水樹がソファーに体を預けながら言葉を返す。
「今さら体型なんかでお前のことを嫌いにはならんよ。」
そう答えながら太希は水樹の隣に座る。
その言葉が嬉しくて水樹は太希に体を
「ありがとう。私も太希君がどんなに太ってもずっと好きだから。」
そう言う水樹に少し目線を向けて太希は「オレは太る気なんかねぇよ」と言葉を返す。
すると水樹は顔を上げて目線を太希に向ける。
「私だって太る気なんかないわよ。」
そう少しほっぺたを
「それは
そう太希は適当な謝罪をのべる。
その後も2人は仲良くソファーでのんびりと過ごす。
※
「ねぇ。太希君。」
「ん?」
「太希君は運命って信じる?」
そう
「…あんまり…信じないかな。」
そう太希は答える。
「私は信じるよ。」
そう水樹は力強く言い切る。
「なんでだ?」
そう太希が聞くと水樹は理由を話し始める。
「だって、私と太希君の出会いが運命だもん。彼氏に捨てられて自殺を考えてた女を助けたのは、彼女に振られた傷を癒しに来た男。似た傷を心に
そう水樹は強い視線を太希に向けながら言う。
そんな水樹の視線から太希は目線を外すと「それは運命かもな」と答える。
その太希の答えに水樹は満足そうに微笑む。
「私達の運命は幸せな運命だね。
きっと、この運命はずっと長く続くよね?」
そう水樹は太希に問う。
「…あぁ。続くよ。絶対。」
そう太希は声を強くして答える。
その太希の言葉に水樹の心は安心する。
「ねぇ、太希君。」
「ん?」
「今度の休みの日。あの海で夕陽を見ようよ。私達が出会った日も見たでしょ?
あの海で綺麗な夕陽。」
そう水樹に言われて太希は当時の綺麗な夕陽を思い出す。
「きっと…今見たら…もっと綺麗だよ。」
そう水樹が遠い空を見つめるように呟く。
そんな水樹の横顔を見つめながら太希は約束する。
「あぁ。行こうか。」
だが…残酷にもこの約束は果たされない。
この約束をした3日後。
水樹は事故で亡くなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。