第2話 この世界で1番幸せな女

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:25

身長:176


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:25

身長:162


中星なかぼし圭吾けいご

性別:男

年齢:25

身長:182


四条しじょう七海ななみ

性別:女

年齢:25

身長:147





日曜日の昼12時を回って太希たいきはやっと目を覚ます。


ボーッとする頭で太希は冷蔵庫からフルーツジュースを取り出してコップに移すとゴクゴクと飲む。


そんな太希のスマホが鳴る。

画面を確認すると中学から付き合いがある親友の中星なかぼし圭吾けいごからの電話だった。


その電話に太希は「はい?」と言ってでる。


「よう、太希。今暇か?」


「まぁ、とくに予定はねぇけど。」


「だったら、今からそっち行ってもいいか?調度、近くに居るんだよ。」


「あぁ、いいぜ。」


「じゃ、またあとでな。」


そう言って圭吾は電話をきる。


太希はコップに残ったフルーツジュースを飲み干すと体を軽く伸ばして服を着替える。


そして、リビングのソファーに座りながら、圭吾が来るのを待った。



家にやって来た圭吾に太希はインスタントのミルクティーを出す。


「今日は神川かみがわさんとデートには行かないのか?」


そう出されたミルクティーを飲みながら圭吾は尋ねる。


「今日は四条しじょうさんと会う約束があるんだと。」


そう太希もミルクティーを飲みながら答える。


「ほぉ。あそこの幼なじみも仲がいいよなぁ。」


そう圭吾が椅子の背もたれに体を預けながら言う。


「そうだな。」


そうあまり興味のない声で太希は答える。


「お前と神川さんが付き合ってからもう8年ぐらいか?」


そう圭吾に聞かれて太希は頭の中で数える。


「高2の時からだから、そんなもんだな。」


そう太希が答える。


「どうよ?今の日々は。」


そう圭吾が体を少し太希に近づけて聞く。


「幸せだよ。間違いなく。」


そう太希がティーカップに口をつけて答えると圭吾は微笑みを見せる。


「いいねぇ。長年のパートナーを今でも愛せる、その関係。」


その圭吾の言葉に太希は少し恥ずかしそうに目線をらす。


「…そういえば、お前も彼女できたって言ってなかったか?」


そう太希が思い出したように言う。


「あぁ、それな。先週振れたよ。」


そう圭吾が椅子の背もたれにもう1度、体を預けて答える。


「…またお前の浮気が原因か?」


そう太希は呆れた目を圭吾に向ける。


「おぉ。さすがわが親友。鋭いねぇ。」


そうニヤニヤと笑みを見せながら圭吾は答える。


「お前が女に振られる理由はそれだけだろ?いい加減にしないと、いつか女に刺されるぞ?お前。」


そう太希は親友に警告する。


「愛した女に刺されるのかぁ。

それはそれで悪くないなぁ。」


そう圭吾は真面目な声で言う。


「…相変わらず、イカれてんなぁ。お前。」


「そう?」


そう圭吾が自覚のない真顔で言うと太希は大きくため息をもらす。


「イカれてんのはいいけど。

犯罪とか犯すなよ~ぉ。」


「犯さねぇよ、バーカ。」


そう圭吾は声を低くして言い返す。



太希と圭吾が楽しくお喋りをしている頃、昼梟ひるふくろうと言う喫茶店では水樹みずきと四条七海ななみも楽しくお喋りをしていた。


この2人の関係は幼なじみの親友である。


「そう。だったら、あんたと山西やまにし君は仲良くやってるのね。」


そう七海はアイスティーを飲みながら話す。


「もちろん。毎日、楽しくて幸せなんだから。」


そう水樹は力強く答える。


そんな水樹に七海は優しい微笑みを向ける。


すると今度は水樹が話を始める。


「ねぇ。七海。」


「ん?」


「私…もし今日死んでも幸せだって想ってけるよ。」


そう突然の水樹の言葉に七海は「え?」と言って驚く。


「あっ、勘違いしないでね。

別に死にたいって言ってる訳じゃないから。ただ…それぐらい幸せな日々を太希君は私にくれてるって話。」


そう説明すると水樹は少し間を作る。


そして、明るい微笑みを浮かべるとこう続けた。


「私、きっと…この世界で1番幸せな女だと思う。」


その幸せいっぱいな水樹の様子に七海は親友として嬉しく想った。


「そう。だったら、その幸せを手放さないようにね。」


その七海の言葉に水樹は明るく「もちろん」と答える。

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