第3話:ただ見上げ角は折れたか蝸牛

ただ見上げ角は折れたか蝸

ただみあげつのはおれたかかたつむり



 まともに動けぬ身体。ベッドの上で、薄い布団を殻にして閉じ籠るだけの、蝸牛のような毎日。


 空元気を出せたのは、半年くらい。一年も同じ状況が続けば、流石に心は折れる。ベッドの上で仰向けの、見上げるだけの日々。


 蝸牛ならぱ、角を伸ばすことが出来る。それならば、より遠くの世界が見える。だけど、私の角は心と共に折れてしまった。


 窓から見えるだけが、世界が全て。それ以上、見たいと願う気持ちは、もう無くなってしまった。

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