無常
そのまま拠点に向かってくれたら良かったのだけど(そもそも、そういう拠点があるのかどうかも疑わしい)大鬼たちは少し開けた場所を見つけ、女を転がした。
それに飛びついた小鬼だったけど、明確な序列社会を形成しているらしく、中鬼が小鬼たちを投げ飛ばした。
そして大鬼が女に覆いかぶさる。その一物は引くほど大きく、人間が耐えられるようなものではないように思える。
出来る限りの抵抗と大声をあげ、どうにか抜け出そうとする女だったけど、中鬼が頬を思い切り打ち据え、恐怖で大人しくなった。それから先のことは、彼女の為にも墓場まで持って行ってやらねばならないだろう。
そこに女としての尊厳はなく、あるのは精子を溜めるだけの存在意義である。相手への配慮などは一切なく、自分が気持ちよくなるためだけにそれは行われる。私は更に待ち続け奴らを尾行したのだけど、拠点に戻る様子はなく、ただ適当にうろつきながら、女に精子を注ぐだけの一日を過ごしていた。
日が暮れる頃に、私は大鬼たちを始末した。意識を失っているものの、かろうじて生きている女の方は、少し思案したあとに炎で跡形もなく燃やした。これが私にとってのはじめての人殺しになった。
彼女は既に真っ当に生きられる状態ではなかった。
それは私の自己満足でしかなかったけど、そもそも彼女を見捨てた身だ。最後まで私は傲慢に振舞ったのだ。死んだ男たちの中に恋人はいたのだろうか。死体が転がっている場所に戻ったけど、既に死体がなかった。通った人間が持ち帰ってくれたのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます