第62話 浮気はしません、絶対に

 最高の一日を過ごし――翌朝。

 もう朝か……楽しい時間はあっという間だな。


 昨晩は幸せすぎた。今年で一番ではないだろうか。カメラに映像として残すこともできたし、これで仕事が更に進む。


 帰って編集しなければ。



「シャワー浴びてチェックアウトしよっか」

「うん。一緒に」


 手を繋ぎ、風呂へ。

 朝シャワーも倉片さんと一緒に浴び、そして愛し合った。


 ・

 ・

 ・


 ラブホを出て職場へ。

 編集部屋に戻り、コンビニで買った朝食を食べる。コーヒーがうめえ。


 倉片さんは疲れてしまい、仮眠中。

 俺がハッスルしすぎたので仕方ない。


 俺は動画編集を進めていく。


 ふ~む……この倉片さんのメイド動画。なかなか上手く撮れたな。

 何度見直してもエロい。



「なに見てるの?」

「倉片さんの……って、うぉッ!?」



 いつの間にか牧原さんが覗き込んでいた。びっくりした……。



「うわ、これ倉片さん? エロすぎだねっ」

「え、ええ。今動画編集中です」


「すご~。こうやって編集するんだね。知らなかった」



 まだ編集についてはうといのか、牧原さんは羨望のような眼差しを俺に向けた。そんな星のようにキラキラした目を向けられて、俺は照れた。



「牧原さんの動画もいずれ編集しますよ」

「マジ~。てか、撮る?」


「え」


「いいじゃん。浮気にはならないよ~」

「ダ、ダメです! ――って、うわ!」



 背後から抱きつかれた。牧原さんの感触が俺の背中に。……ちょ、マジか。倉片さんが寝ているのに! 見られたらマズいって。



「ほらほら~」

「く、くぅ……」



 しかし、下半身は正直である。

 昨晩あんなにシたというのに、マッハで元気になった。くそう、俺の馬鹿ぁ!


 いやしかし、このままもマズイ。

 なんとかして回避せねば。

 倉片さんを悲しませることだけはしたくない!



「ここでシちゃお」

「残念ですが、俺は倉片さん一筋なんです」


「……ちぇ~」



 頬を膨らませながらも、牧原さんは俺から離れた。諦めたらしい。



「解かってくれましたか」

「まだ諦めてないよ。キョウくんが寝ている間に襲っちゃうかもね!」



 ニヤっと笑う牧原さんは、そんな意味深な言葉を残して部屋から去っていく。――って、おいおい! 寝ている間にぃ!?


 そりゃ嬉しいような、困るような。



 ……おかげで編集に力が入らなくなった。


 牧原さんめ~~~!



 ◆



 一週間ほどかけ、無事に編集は終わった。さすがに長尺だと時間が掛かるな。ほとんど俺ひとりだし。モザイク処理とかも。


 投稿を終え、一息つく。


 後は結果を待つのみだ。



「ねえ、キョウくん」

「どうした?」


「またどこか行かない?」

「いいね、仕事も一息ついたし」



 今度はどこへいこうか。

 デズニーランドか、USSJか。富士Qハイランドもありだな。戦慄迷宮とか入ってみたい! しばらくプランを練ってみるか。


 そして、俺はこのタイミングで倉片さんに結婚指輪を渡そうと考えた。

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