第60話 今日も元気にラブホ

 倉片さんの借金はなくなった。

 キレイサッパリのホワイトとは言えないものの、それでもマシにはなった。

 あとはゆっくり伊勢崎さんに対して恩返ししていけばいいのさ。



 最近はコスプレ系が強い。

 倉片さんの顔や局部にモザイクが掛けられているにも関わらず、再生数・販売数を伸ばしていた。

 どうやら、倉片さんのスタイルが良いのと、コスプレもよく映えているので高需要のようだ。

 プライバシーが守られた状態で稼げるのはデカいな。



 編集ソフトでモザイク処理が大変だが慣れたものだ。

 それに、倉片さん自身も手伝ってくれた。



 海外サイト向け投稿から少しずつシフトし、SNSを使った動画販売型に。

 やはりエロパワーは偉大だ。

 フォロワーはあっという間に10万を超え――今や40万フォロワーを獲得。


 同人コスプレAVというジャンルを確立し、サブスクで販売できるようになった。稼ぎは一気に倍増。



「……ふぅ。この一か月で大きく変化したな」

「そうだね。なんだか安定してきた」



 時代はサブスク。

 2,000円のプランで1000人でも獲得できれば、毎月200万円。多少手数料を取られたとしても、150万円以上は堅い。


「しばらく同人コスプレAVの方向でやっていこう」

「うんうん。わたし自身もコスプレする方が楽しいし、盛り上がるからね!」


 俺の好きなアニメキャラのコスもしてもらえるので、正直めちゃくちゃ興奮だ。

 普通にヤるのも、それはそれで楽しいのだが……多少のマンネリを憶えるものだ。なので、コスプレを選んで正解だったな。


「またラブホで撮影しよう」

「おっけー。その前にご飯にする~?」

「ああ。お腹空いたな」



 もう夜の21時。

 ウーハーイーツで頼んで軽く食べるでもいいが、せっかくなので飲食店へ行こう。倉片さんの借金完済祝いに。


 職場を出て行き、外へ。


 エレベーターを降りる最中にスマホを覗くとニュースのトップに気になる記事が。



「……なんだこりゃ」

「どうしたの?」


「立ちんぼ対策で路地を黄色に塗っているんだってさ」

「え?」



 倉片さんは『???』状態だった。

 立ちんぼから足を洗った彼女には、もう無縁の世界だが――しかし、世間ではいまだに横行している事案だ。

 逮捕者も出ているしな。



「さすがに問題になりすぎて対策してるんだってさ。道路を黄色にすれば派手になるから、立ちんぼし辛いってワケだな」


「へえ~。わたしの時は薄暗い裏路地だったからねー」



 今後、こういうカラフルな道路が増えるのだろうか。

 そして『立ちんぼ』も規制されていくんだろうな。


 まあいいさ、少なくとも倉片さんは立ちんぼを卒業したのだから。



 夜の街を歩き、飲食店を目指す。

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