第58話 最高の一日
展望台を満喫し終え、地上へ戻った。
島内をぐるぐる散歩してあっちこっち回った。デートを思いっきり楽しんだどころで再び江の島弁天橋を渡って帰還。
少しだけ伊勢崎さんの様子を見に行くが、行方不明。どこかの男と飯でも食いにいったのかな。……まあいいか。
また、そのうちヒョッコリ現れるだろう。
帰る前に『江ノ電』に乗り、鎌倉高校駅前まで乗った。
ここは写真映えするスポットで有名だ。
アニメの聖地にもなってるけれど。
「あ! この踏切と海の風景は見たことあるかも」
と、倉片さんは楽しそうにスマホを向ける。パシャパシャと写真を撮っていた。
確か昔のバスケアニメだっけ。
夕刻となった今、茜色の空がセンチメンタルな風景を作り出していた。こんないい場所でなら、ずっと
満足したところで帰宅。
江の島を去り、東京へ戻った。
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今日は充実した一日を送れた。
倉片さんと二人きりで江の島を回れたし、ちょっとしたトラブルもあったけれど今や笑い話。
伊勢崎さんは帰宅してないけど、さきほどメッセージアプリに連絡があった。
伊勢崎:明日には帰るね!
どうやら、男を釣ったようで
職場に戻り、編集部屋で動画編集を進める俺。
倉片さんがコーヒーを買ってきてくれた。
「ありがとう、倉片さん」
「うん。編集がんばってね」
倉片さんの借金返済の為にがんばらねば。多分もうあとわずかだからな。
編集に集中していると新人の牧原さんが顔を出した。そういえば、いたっけな。
「おつかれ~。キョウくんと倉片さん帰っていたんだね!」
「お疲れ様です。はい、今倉片さんはお風呂行っちゃいましたけどね」
「そっかそっか。二人とも仲がいいよね」
なんだか羨ましそうに見つめる牧原さん。
そういえば今はなにをしているんだろう、この人。気になって聞いてみた。
「あの、牧原さんも動画編集を?」
「ううん。伊勢崎さんの指示でえっちなライブ配信に集中しているよ。代打というか」
「そうなんですね」
「投げ銭結構もらえてるよ。ライブ配信でも結構稼げるんだね。知らなかった」
牧原さんはもともと同人のAVに出演していたようだ。SNSのフォロワーも1万人はいるようだし、知名度がないわけではなさそうだ。
そんな女性を釣ってきた伊勢崎さんも凄いけど。
そして今は伊勢崎さんのチャンネルを借りて配信をしているようだった。
「AVの規制が厳しい今なら、ライブ配信もアリかもですね」
「うん。でも、動画も撮りたいな~」
「そっちの方が好きなんです?」
「そりゃね。本業はそっちだから」
なるほどね。PPVで荒稼ぎはしていたようだな。
「コスプレするんでしたっけ?」
「そそ。最近はアニメキャラのコスプレでヤってるよ」
「へえ、例えば?」
「えっと――」
有名なアニメの可愛い女の子キャラクターの衣装を着て動画を撮っていたらしい。それで数億円を稼いだこともあるのだとか。……スゲェなおい。
伊勢崎さんのオファーを受けなくても良かったんじゃ?
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