借金ゼロ生活(最終章)

第45話 新人AV女優登場

 毎日毎日、エロ動画を量産しまくった。

 寝不足になりながら死ぬほど編集をして、投稿。編集をして投稿。それを一週間以上は続け――気づけば一か月が経過した。


 やりきったぜ、俺……。


 正直、ブラック企業もいいところだが、これは俺が望んでやったこと。完全に給料度外視だ。けど、伊勢崎さんの好意もあり、倉片さんの借金がゼロになるまでは、そのまま報酬を受け取って良いことなった。


 おかげで早くも返済が見えてきたかもしれない。



「……再生数も順調だ」

「うん。結構伸びたね」



 隣で画面を覗く倉片さん。桁違いの広告収入に驚いていた。



「織田に奪われた分、これでようやく取り戻せた」

「ありがとう、キョウくん」


 倉片さんは、背後からぎゅぅっと優しく俺を抱きしめてきた。そこまで感謝されると死ぬほどがんばった甲斐かいがあったぜ。


 エナジードリンクも何十、何百本と飲んだか分からん。


 その時、ヒドイ眩暈めまいに襲われた。



「…………っ!」



 頭を押さえていると、倉片さんが「大丈夫?」と優しい声で案じてくれた。



「あ、ああ……。ちょっと眩暈がね」

「がんばりすぎだよ、キョウくん。少し、休も?」


「そうだな。横にな…………」



 突然、俺の視界はブラックアウトした。……あぁ、編集作業に没頭しすぎて、自分の限界に気づけなかったらしい。


 だめだ、もう…………疲れた。



 ◆



 目を覚ますとそこは編集部屋だった。

 ああ、そうか。

 俺は眩暈で倒れて……そのまま眠ってしまったのだ。

 あれから何時間経った?


 スマホの時計を見ると【4:30】となっていた。


 え、あれ……。


 夕方?

 違う、これは朝だ!!



 俺は何十時間も眠っていたらしい。どんだけ疲れていたんだよ、俺。

 てか、倉片さんはどこに――?



『ムニュッ』



 ん、なんだこの柔らかいモノ。

 手の方に視線を落とすと、そこには倉片さんの胸が――うわッ!!



「ん、あー…キョウくん。おはよ」



 寝ぼけているのか倉片さんは気づいていなかった。俺の隣で寝ていたんだな。添い寝されていたとはな。



「おはよ。今日は入金日だ。これで借金をゼロにしよう」

「ついに、なんだね……!」



 返済日もギリギリ。なんとか待ってもらっている状況だった。


 よしこれで倉片さんをキレイサッパリにしてやれるぞ!


 今度こそな!!




 朝9時になり、チャイムが鳴った。


 もしかして伊勢崎さんかな?



 気になって玄関へ向かうと、そこは知らない少女が立っていた。……えっと、誰?



「はじめまして、伊勢崎さんに呼ばれた新人AV女優の『牧原まきはら』です!」



 え、ええええええッ!?


 伊勢崎さん、いつのまに人を雇っていたんだ!?

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