第33話 縛られる俺

 俺の身は倉片さんによってキツく縛られ、ついに自分では脱出できないほどの拘束こうそく状態となり、前も後ろもイジられる一方だった。

 こ、これは初めての経験だが……思ったよりもスゴいな。目隠しをされ、なにも見えないのだが気配を感じ取れる。

 そには今、SMの女王様になった倉片さんがいるはずだ。俺の肉体をムチで叩き(優しく)調教を続けてくる。



「……うッ! ぐぅ…………!」

「だ、大丈夫? キョウくん」



 最初は痛くてたまらんと思ったが、この痛みこそが快感。というか、倉片さんから攻められるって良いな……。

 これはまた違った興奮こうふんがある。


 おかげで俺の下半身は“偉大なる不動明王アンチマテリアルライフル”へと一瞬で進化をげていた。


 これは刺激が強すぎるぜ……。



「つ、続けてくれ」

「でも、本当に大丈夫? 結構、ベチンと凄い音がしてるけど」

「いいんだ。あわれな俺をそのムチで叩いてくれ」


「うん。でも、無理はしないでね」



 そう心配してくれつつも、倉片さんはムチで俺の体を打ち付ける。……痛い、痛いが我慢できるレベルだ。


 そんなヘンタイプレイを続けること一時間。俺は疲れ果て、生気を失っていた。魂を抜かれた気分だ。

 少しだけ休憩して、今度は俺のターン。


 説明書を見ながらも、倉片さんの体にロープを巻き付けていく。いわゆる『亀甲きっこう縛り』というヤツだ。

 ぐるぐるとロープを張り巡らせ、ついに完成。はじめてにしては上出来かな。



「で、出来た……」

「わぁ……なんか変な気分」



 倉片さんの体は専用器具に吊り下げ、キツく縛られ、腕も後ろに拘束されている状態だ。逃げられることも、あらがうこともできない。

 すでにドキドキしているのだろうか、倉片さんは頬を朱色に染めて緊張していた。

 いいぞ、その表情。

 ここからは“撮影”も込みで進めていく!


 ハンディカメラをセットし、別視点のカメラも設置した。これでヨシ。



「さあヤろうか」

「う、動けないぃ」



 当然だ。亀甲縛りから逃げられるはずがない。ここからは抵抗もできない彼女を俺の自由にしていく。

 どこから攻めてやろうか……!


 その大きな谷間か。

 いやらしい腰か。

 それとも秘密の花園か。

 手や足もアリだ。


 ああ、そうだ。まずはキスからだ。一番無難なスタートを切った。

 俺はカメラを持ち、縛られて動けない倉片さんの顔に迫っていく。


 身動きできない倉片さんに対し、俺は一方的にキスをしていく。こんな襲うみたいな攻め方は初めてで興奮こうふんする。

 これはこれで良いものだな。

 倉片さんの方も乗り気なのか、舌を上手く使ってくる。……な、なんてイヤらしい。

 縛られていても舌だけは自由に動き、劣情をあおってくる。

 あまりに必死で本気度が伝わってきた。



「……ん、すご」

「んはぁ……」



 必死に互いを求めたせいか、異常なまでに息が上がった。

 身体カラダがマグマのように火照ほてる。このままなら、今まで以上の快楽を得られる気がした。

 ロープで縛られている倉片さんの体ももてあそんでいく。

 そのたびに甘い声を漏らし、小刻こきざみに震える。反応があまりに可愛く、俺は次第に調子に乗っていく。

 指で様々な部位を攻めると倉片さんは息を乱す。呼吸が浅くなり、倒れようとするがロープに支えられて床との衝突はなかった。


 いつもの三倍は可愛がった。



「大丈夫?」

「…………うん。そろそろ」


 まさかのまさか、倉片さんがそう求めてきた。そのセリフに俺は燃えた。トルクメニスタンにある地獄の門のように燃え盛った。


 ああ、今日はもう寝かせないッ!

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