第26話 倉片さんから握られただけで……
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キッチンにあるものは自由に使っていいらしいので、
丁度、
「今日も来てくれてありがとう、倉片さん」
「ううん、いいの。昼間はやることないし~」
「そうなんだ?」
「夜の仕事がメインだからね」
それもそうだった。昨晩はまさに『見学店』で働いているところをリアルタイムに目撃し、直に体験してしまった。
つい
これからこの会社で働く以上は
「倉片さん、少し重めな話があるんだが」
「……う、うん。なんか怖いな」
俺の真剣な視線を感じ取ったのか、倉片さん少し構えていた。
多少引かれるだろうが、覚悟の上だ。少しでも正しい方向へ導いてやれるのなら……言うしかない。
「確か、見学店で働いているって言っていたよね?」
「そうだね。あ、もしかして興味ある~?」
と、倉片さんは俺がまだ利用したことがないと思っている。当然か。お店はマジックミラーになっているから俺の存在なんて知る
「実は、昨晩なんだけど利用した」
「え?」
「倉片さんの後をつけてしまったんだ。すまん、自分でもキモいと思う。でも、知りたかったんだ」
「そうなんだ。ううん、別にキモいとか思ってないよ。あ、もしかして……あの時のお客さん? 60分コースの!」
ハッと思い出したのか、倉片さんは『コース』で俺を特定した。それで分かるのかよ!
「そ、そうだけど、なんで分かった?」
「うーん、なんとなく」
と、倉片さんは怒るでもなく笑った。不快感を示すことなく、むしろ利用してくれて嬉しいとまで言ってくれた。
こりゃ意外だな。
指名が入れば、それだけ稼げるという。
しかも時間の長い方が女の子は喜ぶという。ほーん、そういうものなんだな。
「それで、なんだが……。見学店を辞められないかな? 要望なんだが、こっち専門にして欲しい」
この会社の専業として働いて欲しいと俺は頭を下げて
「いいよ」
「え?」
「いいよって言ったの」
めちゃくちゃアッサリ!
まさかこんな簡単に返答を貰えるとは思いもしなかった。完全に予想外だったぞ。
てっきりキモイ、最低、クズなどと
「じゃあ、この会社で……!」
「うん。見学店はどのみち辞めるつもりだったよ。だってほら、立ちんぼの方が稼げそうだったし。でも、キョウくんと再会したからさ」
俺が支援していた分で、それで十分稼げているという。
この会社に所属してギャラが貰えるのなら、乗り換えてもいいと言い切った。さすが倉片さんである。
「ありがとう、倉片さん」
「いいんだよ。わたし、キョウくんと一緒に働ける方が楽しいし」
「マジか! 嬉しいこと言ってくれるな~」
「だってさ、知らない人よりも知っている人の方がいいじゃん」
その意見には同意だな。俺もどちらかと言えば知り合いの方がヤりやすくていい。そもそも、倉片さんとの体の相性はバツグンなのである。
何度ヤっても最高だし、幸せを貰える。
あと百回ヤっても足りないと思う。
俺はまだまだ――いや、倉片さんを無限に愛せる。
「決まりだな! 伊勢崎さんに言って契約も結んでもらうけど、いいよね?」
「もちろん。じゃ、今晩で見学店は辞めちゃうね」
あと“立ちんぼ”も引退すると宣言した。その方がいいだろう。知らない男とヤって欲しくない。今後は俺だけでいい。
俺も倉片さんしか興味ないし、ずっとヤりたいと思っている。
ああ、でも伊勢崎さんと織田が『仕事』を求めてきたら……仕方ないが。
これで正式に決まった。
今後、倉片さんはこの伊勢崎さんの会社で“専属”だ。主に俺と個人撮影ってところになるかな。
「よろしくね、倉片さん」
「こちらこそ! わたし、
仕事熱心なのは昨日の見学店でよく分かった。倉片さんは、えっちな事に関しては手を抜かないし、事務的でもないし、常に全力。男を満足させてくれる女神タイプだ。
もっと別のお店で働いていたのなら、常にNo.1嬢だったろうな。
「じゃ、また試し撮りしていこっか」
「昨日の感じでやればいいんだよね」
「そそ。俺まだカメラワークとか下手でね。その辺り改善していきたい」
「分かった。がんばろうね」
手を優しく握られ、俺の
って、いかんいかん。稼ぐ為にキチンとした映像を撮らねばならんのだ! ただヤればいいってモンじゃない。倉片さんの
撮影開始――!
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