第24話 倉片さんのエロすぎるポーズ

 さりげなく後をつけていく俺。

 バレないよう距離を取り、倉片さんの後ろ姿を追っていく。


 三駅乗りいでようやく到着。ここに働いている店があるのか……?


 駅を出て闇夜やみよの中をり歩く。


 俺は人混みの中にまぎれ、忍者のように気配を押し殺して進む。倉片さんは真っ直ぐ歩いて、ある場所で角を右に曲がった。

 そこには古びた雑居ざっきょビルがあった。

 看板もなくてみょうさびれている。

 しかし、客らしき男が入っているのでお店で間違いななさそうだが――。


 遠くから見守っていると倉片さんはビルの中へ消えていく。俺もバレないよう続いて入った。


 エレベーターで上がったらしい。少し待つと『五階』で止まった。最上階っぽいな。

 階段で上がるのはシンドイので待つことに。


 ふと階層別の案内板が目に入った。


 五階『世界制服せかいせいふく』などという、JKなどを連想させる店名があった。こ、これだな……! なんちゅう店だよ。


 しばらくして俺はエレベーターに乗った。五階のボタンを押し、目的地まで上がった。多分今頃、倉片さんは出勤してバックヤードにいるはず。

 制服に着替え、マジックミラーの部屋に入る頃かもしれない。


 タイミングはばっちりのはず。

 到着して直ぐに受付があった。

 そこには中年の男性が立っていた。



「いらっしゃいませ」

「あ、あの……」



 しまった。利用するつもりはなかったのだが……てか、こんな目の前に受け付けがあるとは思わん。

 他の客がいたら気まずいじゃないかッ。

 ええい、こうなったら利用するしかないか。

 今さら引き返すとか出来ない。



「お時間は30分で料金は5,000円となります。ご指名は一回のみとなっておりますので」


 淡々たんたんとお店の利用方法について教えてくれるスタッフ。

 指名の場合、その女の子が目の前で大胆なポーズだとかしてくれるらしい。そういう仕組みか……すげえ。


「なるほど」

「60分コースもございます。そちらは指名が二回となりますが10,000円いただきます」



 へえ、60分もあるとはね。長く利用したい場合はアリだな。てか、倉片さんの美ボディを見られるなら、何時間だって払うけどな。



「じゃ、じゃあ……60分で」



 なんかノリで最大時間にしてしまった俺。10,000円を支払った。

 そして、別の男のスタッフからボディチェックをされた。どうやら、盗撮や盗聴防止の為の措置そちらしい。こんなことされるとは思わなかった。


 タブレット端末を受け取り、個室へ。……って、個室なのかよ。

 一畳半しかない狭い部屋に入った。

 そこにはティッシュBOXとゴミ箱が置いてあった。それとマジックミラーの向こうの部屋。七畳ほどの部屋に複数の女の子の姿が見えた。みんな若くて美人だな。


 おぉ、しかももう制服姿じゃないか。えっろ……。


 どうやら、タブレットで指名して女の子に指示できるようだった。

 倉片さんはどれだ……?


 あ、顔写真で分かった。この『黒咲くろさき のあ』という名前のコだな。俺は迷いなくボタンを押した。

 少しすると制服姿の倉片さんが現れ、俺の目の前に。


 うぉっ……キタッ!


 本人登場で俺はビビったし、あせった。しかし、倉片さんは俺の存在に気づく様子はない。


 ああ、そうか。


 マジックミラーで向こうからは俺の姿が見えないのか。俺からは見えるけど。


 つまり、俺の正体は分からない。店のルールでお互いに声も出せないからな。


 ぼうっと見つめているとタブレットにチャットが。



黒咲くろさき のあです。よろしくお願いします☆』



 返信しようとしたが、こちらから送信はできない仕様か。

 倉片さんは次第に大胆だいたんなポーズをとっていく。


 …………な!


 いきなりM字開脚かいきゃくとは……!



 制服のボタンも外していくし、凄いスピード感だ。なにが見学店だと思っていたが、これはこれで興奮こうふんするな。

 てか、倉片さんほどの美貌びぼうとスタイルで興奮しないとかありえん。

 連夜、あの白い肌に触れて重ね合わせているが、見るだけというのも悪くないな。


 次々に披露ひろうされるえっちなポーズ。


 すげえ……すげぇよ。


 肝心かんじんな部分は見れないものの、制服補正もあいまってとんでもない満足感を得られた。


 いよいよ我慢できなくなり、俺は自らをいやした。



「…………ふぅ」



 時間も経ち、倉片さんは『ありがとうございました☆』とメッセージを俺に送り、去っていく。


 まさか目の前に俺がいたとは思うまい。

 てか、ちゃんと仕事していたんだな。そこにまず感心だ。


 時間もあったので、俺は再び『黒咲くろさき のあ』を指名。心行くまで楽しんだ――。




 ……って、ついつい楽しんでしまった!




 けど、倉片さんがこういうお店で稼いでいることが分かった。本当だったとはな。あ、いや、信じていないわけではなかったが。

 こうリアルな現場を目の当たりにすると、また違った気持ちがいた。


 もう倉片さんをこんなお店で働かせる必要はない!

 伊勢崎さんの職場の方が稼げるし、安全だ。


 辞めさせなきゃ――そう思った。

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