第2話 突然の侵攻

「ねぇ、おとーさん、おっきいおふねがみえるよ」


 子供が、男性のもとに駆け寄り言う。


「んー・・・そうだね、大きなお船だ」


 子供を抱え、男性。


「あれも、しょーせんなの?」


「いや、今日は商船は来る予定はないから、多分どこかの客船じゃないかな?」


 瞬間、辺り一帯が吹き飛んだ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 リフナは歴史上、外国から攻められたことが殆どない。


 それは大陸同士を繋ぐ架け橋の1つであったため、外交上その恩恵を失うことを恐れたからなのかも知れない。


 または、東に同盟国、西、北、南を海に囲まれた攻めにくい地形が関係したのかも知れない。


 つまり誰も、そんなこと考えていなかった。


 大陸の同盟国の東には、この2国と敵対する国があるのだが、まさかその国が攻めてくるなんて。


 その国・・・リグリアントはクナシ礁に式典が始まった頃に到達すると、上陸、最東端の港町、オポセンドールを1時間で占領。


 すぐさま移動を開始し、オミアーに足を踏み入れた。


 ここで衛兵やリフナの軍隊と一悶着あったが、数の差で圧倒され、ここもまた陥落。


 この時にはセントラル・パークに居た人々にもこの事が知らされ、式典会場は騒然としていた。


 衛兵、軍隊共にクナシ礁へ向け出発。


 しかし、時は既に遅く、その時点では、クナシ礁の東半分の町々は完全にリグリアントに占領されていた。


 その間もどんどん西に向け進軍したリグリアントは、クナシ礁南西部で軍事衝突。


 小1時間戦闘を繰り広げ、リフナの軍隊は撤退に追い込まれた。


 元々リフナの軍隊は防衛特化。


 日頃から他国への侵攻を繰り返すリグリアントと違い、戦闘経験も足りないので当たり前といえば当たり前の結果だった。


 そして、そもそもの軍人の数。


 リグリアントには合計で100万人超の軍人が居るのに対し、リフナは10数万人。


 何においても勝てる要素はなかったのだ。

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