第28話

そんな私をにこにこ見つめるうたくんにどぎまぎしていると、はい、これ忘れてたやつ、とイヤーカフを渡してくれた。



ありがとう、わざわざごめんね、と言う私に、いとちゃんに会える口実ができたから謝らないで、むしろ嬉しい、という言葉にまたもや顔が熱くなった。



そこからはいつものように楽しくお話しした。



この前パン焼いてる途中に友達と電話してたら火災報知器鳴って何事かと思ったら、真っ黒焦げの炭みたいなパンが出来たんだよーと写真を見せると


火はちゃんとしないと危ないよ、と少し怒られて心配されながらも、そのパンの黒さに笑っていた。



そんな話をしながらケラケラ笑っているとあっという間に時間が過ぎた。



うたくんといると時間が過ぎるのがはやく感じる。



名残惜しく思いながらもこのあとバイトがあるのでうたくんとはばいばいした。



会う前はうまく話せなかったらどうしよう、と心配していたが実際会うと今までのように普通に話せた。


会う前はドキドキするけれど、会ったら落ち着く。


恋してるんだなあ、なんて思いながら歩くバイトへの道はいつもより短く感じた。

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