第20話
しばらく泣き続け、ようやく涙が止まりそっとうたくんの胸から顔を上げると、すごくすごく優しい顔をして頭を撫でてくれた。
人前で泣いたことがなかった私は恥ずかしくなり、
「ごめん、こんなことで泣いて面倒くさいよね、自分でも嫌になる」
と呟き俯くと
「依音、顔見せて」
真剣なその声につられるまま顔を上げると、私のことを真っ直ぐな目で見つめているうたくんに
「依音が自分のこと嫌いでも、おれは依音のこと好きだよ」
と優しく言われまた泣いてしまった。
いつもにこにこしてるのに、こんなときだけ真剣な顔で呼び捨てするなんてずるい。
結局そのまま泣き疲れてうたくんの腕の中で寝てしまった私には、もっとかっこよく告白するつもりだったのにな、という呟きは聞こえなかった。
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