第19話
「はい、どーぞ」
「ありがとう」
お礼を言いながら受け取り、ココアを飲むとその甘さにほっとした。
うたくんはいつもと違う私の様子に気付いていただろうけれど、知らないふりをしていつも通りに接してくれた。それがとてもありがたかった。
そうしてココアを飲み終わった後
「それで?いとちゃんどうしたの?」
うん、やっぱり聞くよね。
ていうか家に上げてもらってその上お風呂にも入れさせてもらったんだから言わなきゃいけないよね、と思いつつ空気が重たくならないよう、今日あったことを面白おかしく話していると
突然抱き締められ
「なんでそんなに無理して笑いながら話すの」
「、っえ、別に無理してなんかないよ、大丈夫」
実は話してるうちに過去のことも思い出して明るく話すのがしんどくなってきたが、そう強がると、
「大丈夫なんかじゃないでしょ、どうして強がるの」
すべてお見通しのようだった。
優しく背中をぽんぽんされながらおれの前でくらい強がらずに泣きな、と言われると泣くつもりなんてなかったのにぽろっと涙が溢れてしまった。
そして一度出てしまった涙は止まることなくそのままうたくんの腕の中でわんわん泣いてしまった。
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