第17話

「っえ、いとちゃん?!」


すると突然声が聞こえた。


声のしたほうを向くと、昨日ぶりのうたくんがいた。


変なとこ見られちゃったな、と思いながら昨日ぶりーと声をかけると、うたくんは慌てたように駆け寄ってきて差していた傘に入れてくれた。



「こんな濡れてどうしたの」


「あー、傘忘れちゃって」



えへへ、と笑いながらうたくんを見るとすごく心配そうな顔で見つめられた。


私は、とりあえず風邪引くからはやく温まらなきゃ、タクシー呼ぶよ、と言いスマホを操作しているうたくんの手を気付いたら掴んでいて


「、やだ」


と小さく言葉を溢してしまった。


その言葉を聞いたうたくんは私の目線に合うよう体を折り曲げ、じゃあ俺の家くる?と問いかけた。




いつもだったら嫌なことがあった日は一人になりたいけれど、その日はなぜか無性に一人になりたくなくて私はその問いに小さく頷いた。

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