第16話

そんな過去の記憶を思い起こしているとバイト先に着いた。



おじさんとおばさんに挨拶して仕事に入り、そのままいつも通り業務をこなしているとそろそろ上がる時間になった。



今日は最後に棚を掃除しようと思って棚を拭き始めたら、うっかり商品に腕が当たり落としてしまった。



しかも運の悪いことに落としたのは陶器のマグカップで、当然落ちたマグカップはパリーンと音を鳴らし割れてしまった。



店内にいたお客さんに謝りながら急いで裏に行き、ちりとりと箒を持ってくるとおじさんが慌てて私の元へ来た。



「いとちゃん大丈夫?!」


「大丈夫です、落としてしまってすみません」


これ買って帰ります、と謝りながら言うとおじさんはひとまず怪我がなくて良かった、と優しく言ってくれた。


その後シフトの時間を少しオーバーし、大丈夫だと言うおじさんになんとか代金を渡し割れたマグカップを持ってバイトを上がった。


今日はついてないな、と思いながらとぼとぼ歩いているとザーっと雨が降り出した。



やっぱり今日はとことんついてないらしい。



天気予報で雨が降るなんてこと言ってなかったので傘を持ってなかった私は、いつもだと慌てて雨宿りをするが今日はもうどうでもよくなり濡れながら歩いた。

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