第10話

なぜか朝によく似合う爽やかバージョンのうたくんが私の目の前にいた。



「えっと、なんでここにうたくんが?」


あ、あとおはよう、と付け足し驚きながらも聞いてみる。



もしかして前一緒にお酒飲んだときに教えたのだろうか。正直あの日はアルコールが入っていたし、会話が弾みすぎて何を話したか覚えていない。



「なんでって、お買い物しに来たんだよ、妹の誕生日がもうすぐだから」



あといとちゃんに会いたかったし、と小声で付け足した。



どうやらぽろっと話していたらしい。


一応仕事中なので会いたかった発言はスルーしておく。小声だったからわざわざ伝えようとしたわけでも無いんだろうし。



とりあえずお客さんということなのでいらっしゃいませ、と言いながら扉を開け店内に招き入れた。




買い物をするとき一人でゆっくり見たいという方もいるので Felicità ではお客さんに話しかけられたら答えるようにしている。


だからうたくんにも話しかけず仕事に戻る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る