第11話

しばらくするとうたくんに



「いとちゃん、ちょっといい?」



と呼ばれたので行くと、この色とこの色だったらどっちがいいと思う?という極めて難しい質問が投げかけられた。



この手の質問は、質問した本人が使うのであれば雰囲気に合うものをおすすめするが、その場にいない人のプレゼントとなるとすごく難しい。



だから、プレゼントされる方の顔を思い浮かべて実際に使用されているところを想像してみてください、と言うと少し考え込んだ後笑顔になり、これにします!と言われる。



きっと相手の方も喜ばれますよ、と言葉を添えながらお会計をするのだけれど私はこの瞬間がとても好きだ。



誰かのことを考えて笑顔になる人を見ると、相手の人が受け取ったときの顔も思い浮かび、私も自然と笑顔になれる。



もちろん、自分にプレゼントを買っている人も同じだ。



買い物を終えた人たちが笑顔でお店から出ていくのを見ると、私も幸せの一部をお裾分けしてもらった気持ちになりとても嬉しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る