第9話

その後うたくんから連絡がくるわけでもなく、私はいつも通りの日常を送っていた。



そんなある日の土曜日のこと、



am 8:00


「おはようございます」


「おはよう、今日もよろしくね」



大通りから一歩小道に入った先にぽつんと佇むミントグリーンの扉が印象的な建物。


ここが私のバイト先だ。


笑顔が素敵な優しいおじさんとおばさんがやっているここ、雑貨屋 "Felicitàフェリチタ"は私含め3人しかバイトがいない小さなお店だ。



土曜日の朝からバイトなのは少し気が重いけれど、どうせ家にいてもだらだら寝ているのだから時間を有効活用できていると思えばいい。


それに気が重いのは最初だけだ。仕事をやり始めればつい夢中になり、すぐシフトの時間が過ぎる。


雑貨屋巡りが趣味な私にとって、好きなものに囲まれて働けるこの環境は控えめに言って最高だ。


それに今日のシフトは午前中だけだから午後は何をしようかな、と考えていれば



「いとちゃーん、表のプレートopenにしてきてくれる?」


と言われ表へ出てcloseからopenへ変えていると、



「あ、いとちゃんおはよう」





・・・・え?

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