第26話 えぇ〜〜〜〜〜〜ぇえ?

「まぁ〜〜いいや。ほら! 唯菜行くぞ!」


 ——?



 私、コテンと首を傾げる。



「なに、ボケっとしてんだ。脱出すんだよ! この夢から!」


 ——??



 私、またコテンと首を傾げる。今度は反対の方に。だって、ウサギさん何も説明してくれないんだもん。


 なんで、動けているのか? とか——


 夢の事を知っているのか? とか——


 夢から逃げ出しているって分かってるんだ? とか——


 もう、『説明求む!』って言ってやりたい。喋れないから無理なんだけどね。



「んだよ。俺様の事をジトッと見やがって、こんなにも愛くるしい俺様を疑ってるのか? ふざけやがって——可愛いは正義だろうが! 疑う余地が何処にあるって言うんだ!」



 まぁ、そうなんだけど……私が気にしてるのはそこじゃないのに……



「オラ! なんとか言えや! 小娘!」



 むぅ〜〜私、喋れないのに……意地悪なウサギさん。夢からでたら、ムギュッ〜〜してやるんだから!



「もう! 俺様とお前の関係はで、お前が夢の中から無事に逃げれるように駆けつけてやった。それでいいだろう!」


「——ッ!?」


「それとも相棒だと思っていたのは俺様だけか? お前は、大切な相棒を疑うって言うのか? ぁ゙ん゙!?」



 私は思いっきり首を横に何度も振った。

 ウサギさんの言う通りだと思った。

 私、どうかしてた。私の相棒。ウサギさんを疑うなんて駄目だよね。



「はん。ようやく分かったようだな。唯菜。この俺様に任せておけ。付いてこい!」



 頼もしい助っ人! 私のウサギさんはこんなにも頼もしい存在だったなんて思いもしなかったよ!

 私は黙ってこの頼もしい相棒について行く。口は少〜しワルワルだけど、そんなこと匙だって言えるほど心強い味方を得た気分だよ!



……ポテポテポテポテ……



……ポテポテポテポテポテ……



……ポテポテ……



…………



 ——? あれ? ウサギさん立ち止まってどうしたんだろう?



「おい……結菜? 俺様を抱きかかえて連れて行け! 俺様のこの足じゃ時間がかかるんだよ。わかるだろ? ——気付けや!」


「——ッ!?」



 えぇ〜〜〜〜〜〜ぇえ?



「——ッんだ!? その顔はぁあ!? 俺様の足はな『愛くるしさ』に極振りしてるんだよ!! 『速度』は二の次、求めちゃ〜〜いないのさ!」



 えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぇえ??



「早くしろ!! いつまでジト目でいるつもりだ?! ブサイク顔が気に入ってんのか? 物好きめ。俺様を抱えて連れて行け!」



 これ……ウサギさん。何しに来たんだろう? 凄く邪魔なんだけど?


 最初は、足元にいるのに気づかなかったんだけど……地味にデカいんだよね。


 本当に何しに来たんだろう?


 足手まとい??






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