第10話 確認しなくちゃ!
今日も同じ夢——
同じ教室。
私の座る同じ席。
右の席にはセミの死骸。
左の窓からは同じ田舎の風景。
いつもの光景だ。
——ふぅ〜〜……
私も慣れたモノだ。1つ息を吐くと、さて今日は何しようか思案を巡らす。イタズラのレパートリーが減ってきて困ってるんだよね。
もう、飽きちゃったの。当たり前だよ。半年以上同じ夢を見てるんだから……最近は勝手口に直行しちゃってるし。
でも、ここまでくると不思議には思わなくなっちゃって、この夢は私の日常になってたんだ。
今日も、そうしようかなって——席を立とうした。
その時——
——ガシャァアーーーーン!!!!
ガラスが割れる音がした。大きな音。
——ッッッ!!??
私はビックリして身体が跳ねた。瞬間的に廊下の方を見て。
この時——金縛りにあったかの様に身体は膠着して……固まっていた。何も考えられずに……
その後、どれだけ時間が経ったのかは分からない。
私は気づくと……
カタカタカタ——という音を鼓膜が拾っていた。
これがイスと机の足から鳴ってるんだって理解した瞬間、私の身体が震えてるんだって気づいたんだ。
怖い。
ッッ怖い。
ッッッ怖い!!
さっきまで楽観的だった私が羨ましい。
毎日の夢に突如として現れた異変。それは私に恐怖を与えた。
こんな感情になったのはいつぶりなんだろう。
こんなの……あの時以来の……
……あ。
この時分かった気がした。
この音がどこから発生したのか。誰がやったのかって……
気づいちゃった?
そう……男の声で耳元で囁かれ、鼓膜に響いた気がした。
同時に……
あの靄を思い出した。
赤い……あの靄を……
一度、校庭の真ん中で靄を見た時——ニタっと笑っていた印象を受けたことを思い出していた。私……ちょうど、その時にも恐怖を感じたんだ。だから、『赤い靄』を思い出すのに、そう時間はかからなかった。
——うん……確かめに行かないと……いけないよね?
怖いけど……
行きたくないけど……
早く夢から覚めたいけど……
私の夢に巻き起こった『異変』——
知らないままは……ダメだよね?
教室で目覚めてからどれだけ時間が経ったのかはわからないんだけど……私は、ようやく席を立った。こんなにも自分の身体が重いなんて感じたことない。
それに、身体がまだ震えてる。
やっぱり怖いんだ。
怯えてるんだ。
夢——なんだけど……変だよね。
やっぱり、この夢はおかしいんだ。
それを……私は、知らなくちゃいけない。
私ったら……こんなにも勇敢だったかなって……まるで物語の主人公になったかの様に麻痺する感覚。
怖いんだよ? でも、仕方ないじゃないか。
だって……
私は……
毎日この『夢』を見るんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます