第7話 毎日見る同じ夢 毎日居る赤い靄

 視線を感じた。


 あそこから……


 ほとんど感覚としか表現できない。


 なんか……


 見られた! 目が合った!! 


 って——そんな気がしたんだ。


 そこから怖くなっちゃって、私は校庭の杉の木から視線を外した。そして、今日も学校探索に行っちゃったの。

 その日の私は、少し悪い子! 普段、学校でできないことをして、遊ん……じゃなくて、散策をしたんだ。

 音楽室の楽器を勝手に演奏してみたり、校長室の椅子に座ってみたり、時間割がムカついたから『数学』を抜いて『ランチ』って入れといたりしたの! 毎日、お昼ご飯が2回ある。うん! 幸せだ!!


 そして、イタズラに飽きちゃったらまた勝手口から外に出た。


 一応、学校中の窓とか扉を開けようとしてみたけど、やっぱり昨日と同じで開かなかったんだ。この校舎、是が非でも私に田舎の空気を吸わせたくないようね? 一度でいいから「田舎の空気はうまい!」って言ってみたかったんだけどな〜〜……いや、それは無理ね。私、空気の味なんてわからないし。


 それで……


 やっぱり階段横……狭い通路の先の扉を開けたら、そこで目が覚める。今日は散策で時間を使ったから少しお寝坊さん。


 ママに身体を揺さられてたんだ。『起きなさい』って……





 また、次の日の夜——



 


 これ完全におかしいよね? だって、私は3度目の同じ席の着席を余儀なくされてる。そして、隣の同級生は翼の折れたセミ。


 ようやくここで私はこの夢が本格的に怖くなった。


 それにね——


 窓の外を見た。相変わらず暑そうな炎天下で遠くでは陽炎が揚々と渦巻いている。だけど、私が気になったのはそこじゃない。



 あ、また居る——



 あの赤い靄だ。相変わらず大きな杉の木の下。そこにはアイツが居た。それに視線も昨日と同じで感じてるんだ。でも、昨日と違う点がある。

 ちょっと位置が手前? 木の幹から少し離れている様に感じた。



 動いている。



 ——ッ!?



 そう、気づいた時には、鳥肌が立ってた。薄ら寒い。

 夢の中なのに……不思議な感覚だった。

 その日は、そのまま何もせずに勝手口に直接向かって夢の世界を後にした。それまで私はこまめに背後を確認して……


 

 一体何に怯えてたのかな……私……








 またまた、次の日——





 おかしいのなんか分かってる。それに、こうなる予感もしていた。



 だけど、それはまだいいの。



 私が今日この教室で信じたくない変化を観測したから……



 窓の外——



 あの赤い靄は、杉の木の翳りから飛び出していたんだ。





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