第98話 最高だぜぇ
「はあ、はあ……これで5つ目……あとは、そのど真ん中にあるタマだけだな……!」
「兄弟、中々やるじゃねえか~……さ、最高だぜぇ~!」
変形した巨大カメロボの攻撃を搔い潜り、時には攻撃を受けつつも相手の宝玉を叩き割り、両腕と両足、そして頭と身体を繋げる関節代わりの宝玉を破壊することに成功した。
あとは身体の内部にあるコア代わりの宝玉ひとつ。
相手も満身創痍だと思うが、やはり甲羅が変形した装甲はインフェルノゴーレムに負けない頑丈さを持っている。
「お、おれっちはもう攻撃手段が無いぜ~……さあ兄弟、思いっきりやってくれなんだぜ~」
「クラッシュ……」
「おれっちの名前はクラッシュじゃないんだぜ~」
宝玉を破壊したことで可動部が機能しなくなり、カメのような頑丈な胴体だけが残った変形ロボ。
あとはもう、相手の攻撃を気にせず思い切りぶん殴るだけだ。
「ふう……っ!!」
拳に魔力を集中、凝縮。
噴き出る炎がどんどん水中に霧散していくが、それでも出力全開で魔力を纏い、放出し続ける。
「いくぜええええええええええええッ!!」
「かかってこいなんだぜ兄弟~!!!!」
「おらぁッ!!!!」
ガキンッ!! と思い切り一発殴るも、装甲が堅く破壊されることはない。
それでも一点を狙ってひたすらに殴り続ける。
「おらおらおらおらぁッ!!!!!!」
「バ、バーニングなんだぜ~!!!!」
灼熱の拳でひたすらに一点を攻め続け、少しずつ装甲が歪んでいく。
ピシ、ピシピシピシ……!!
「これで……終わりだあああああああああああッ!!!!!!」
「さ、最高だぜぇえええええええええええ~!!!!」
バッキイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!
―― ――
「はあ、はあ、はあ……や、やっと倒した……」
破壊された6つの宝玉の破片がカメ型ロボットに吸収され、光を帯びる。
「きょ、兄弟……これでようやく、オーケアニス様の封印が……」
「クラッシュ……」
「さ……最高……だ、ぜぇ……」
パアアアアアアアア……
「これは……貝?」
宝玉を吸収し、光に包まれたクラッ……巨大カメは、まるで人魚姫のベッドのような巨大な貝へと変化した。
そんでもって結局7つ目の玉は無かった。なんなんだまったく、七宝玉とか嘘つきやがって。
「まあ良いや。この貝の中にオーケアニスがいるのか?」
そう考えるとそんなに大きくないかもしれない。
え、本当にこの中にドラゴン入ってんの? オーケアニス、小柄なんかな。
ギギ、ギギギ……
「お、貝が開いてきたぞ……」
ついに、クルースニク以外の神龍とご対面か……さすがに緊張するな。
オーケアニス……どんな感じなんだろうな……地上で聞いた声の感じ、穏やかそうなイメージだけど。
ギギギギギ……ギギギギギギギィ……!!
「さあ、封印を解いたぞオーケア」
パクッ!!
「えっ」
徐々に開く巨大な貝を覗き込もうとしたら、そのまま貝の中に吸い込まれ、殻を閉じられてしまった。
「いやまたこの流れかよ!」
……。
…………。
ギギギギギ……カパッ!!
「べっ!!」
しばらく真っ暗な貝の中で大人しくしていると、急に殻が開いて押し出されるように外へ飛ばされる。
「ぺっぺっ! 口の中に砂入ったわ……なんなんだもう」
「申し訳ありませんホムラさん。少し建付けが良くないもので」
「ああ、いや。別に……良いん、だけど……」
砂を払って前を向くと、そこには……美しいコバルトブルーの水龍が佇んでいた。
「ようやく会えましたね、ホムラさん。あちきは水神龍……水神龍オーケアニスと申します」
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