第40話 勇者ギルド
「おはようございまーす」
「ぐっもーにゃん」
宿屋で朝食を済ませたオレとクロムは、昨日のヴォルケイム火山地帯でのハンシン襲撃の件を説明するためにギルド会館へとやってきていた。
昨日、街へ戻ってきた時に冒険者ギルドのミクティさんに軽く報告は済ませたんだけど、事情が事情なだけにしっかりと詳しい話を聞きたいということで、今日は他のギルドの人も交えて話をすることになったのだ。
「おはようございます、ホムラさん、クロムさん」
「おはようございますミクティさん」
「すいませんねわざわざ。どうしてもホムラさんたちの話を詳しく聞きたいという方がいまして……」
「グッドモーニングです!!」
「「っ!?」」
背後からめちゃめちゃデカい声で挨拶をされてビクッとなるオレとクロム。
なんだ? 朝っぱらから随分と元気だなおい……
「あ、ドマジメさん。おはようございます」
「やあミクティさん! 今日も美しいですね!!」
「あはは。えっと、ホムラさん、クロムさん。こちらカマドの勇者ギルドでギルド長を務めるドマジメさんです」
「ドマジメです!! よろしくお願いします!!」
「は、はい……」
「声でかいにゃ……」
耳をペタっとさせてオレの後ろに隠れるクロム。
ネコネコ族は聴覚が人間よりも良いのかもしれない。
「カマドに常駐している勇者クランの方々が昨日のヴォルケイム火山地帯での魔王軍襲撃の話を是非聞きたいとのことで、ギルド長のドマジメさんと一緒にお呼びしました」
「襲撃っていうか、たまたま鉢合わせした感じだったけどな……」
「さあみんな、登場です!! カモーン!!」
ドマジメさんの掛け声で4人の青年が勇者ギルドのブースからやってくる。
腰に剣を下げた背の高い男と、大きな盾を背負った男と、魔女っぽい帽子を被った女と……杖を持った小柄なエルフ?
「この子たちはカマドの街を守る勇者ギルドのクラン『女神の聖火』です!」
「僕はリーダーのアスベル、職業はガードだ。よろしくね、ホムラくん!」
「は、はい……よろしく」
こっちの人がリーダーだったのか。てっきり剣を下げてる人かと……
「剣士のナクラーマだ……」
「魔法使いのブルベリよ」
「……ちーは、ヒーラーの、チユ」
最後に自己紹介をしたヒーラーのチユという少女は、言葉が少しカタコトだった。
「チユ、もう少しハキハキと喋ったらどうなんだい? こんな感じに!」
「……ご、ごめなさ」
「はっはっは!! まあまあ、チユちゃんは秘境出身のハーフエルフなんだから、多めに見てあげようではありませんか!!」
「正直、あの子くらいの声量が一番耳障りが良いにゃ」
クロムはチユの傍に行って二人でなにか話している。
ハーフエルフということは、人間と亜人のハーフみたいな感じなんだろうか。
ネコネコ族のクロムは彼女に少し親近感を覚えたのかもしれない。
「それじゃあ早速、昨日の話を……」
「待ってくれたまえホムラくん! あと一人来る予定なんですよ!!」
「あ、そうなんですか……」
少し待っていると、商業ギルドのブースから男の人がやって来る。
「おーっす、おはようさん」
「あ、ドマイドさんだ。おはよう」
「おうホムラ。昨日アムラとヴォルケイム行ったんだろ? 新しい魔結晶でも手に入ったか?」
「入ってないよ」
……ん?
商業ギルドのギルド長がドマイド、勇者ギルドのギルド長がドマジメ……
名前、なんか似てるな。
「ちょっとドマイド兄さん! 遅刻ですよ!!」
「悪い悪い、昨日ちと飲みすぎちまってな。あ、ホムラ、こいつドマジメ。俺の弟」
「もうみんな自己紹介済んでるよ……って、えっ? 弟さん?」
二人は兄弟だった。
に、似てねえ……
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