第11話 地下255階層の番人
「この先が、地下255階層……」
オレとクルースニクは『炎神龍の岩窟』最深部からマグマの川を渡り、上層へと続く階段を上がった先にある扉の前までやってきていた。
この先が地下255階層、そしてこのダンジョンの主である炎神龍クルースニクの次に強い『インフェルノゴーレム』が待ち構えている部屋になっている。
「我はこの最深部の階層から出ることは出来ない。ここから先へはホムラ、貴様一人で行かなくてはならない」
「ああ、分かってる」
ダンジョンの主であるクルースニクは、この最深部から地上へ上がることは出来ない。
厳密には出来るっちゃ出来るらしいが、地上の環境に影響を及ぼす可能性があるとからしい。
なんだそれ、すごすぎるだろ。
「我はこのヴォルケイム火山地帯を統べる炎神龍だからな、何か行動を起こすと火山の噴火などで周囲の街が滅ぶかもしれん」
「神龍ってのも大変だな……」
というわけで、クルースニクの力に頼らなくてもダンジョンを抜け出せる力を付ける為に、オレは今まで頑張ってきたというわけだ。
「ホムラ、体調は万全か?」
「ああ、絶好調だ」
「喉は乾いていないか? 乳飲んどくか?」
「だ、大丈夫……」
「ヤバそうだったら死ぬ前に引き返してくるのだぞ、扉は閉まらないようにしておいてやるから」
「わ、分かったよ」
クルースニクのやつ、オレのことを心配してくれるのは嬉しいがさすがにオロオロしすぎだろ。
初めて1人で登校する小学生の子供を見送るお母さんみたいになってるじゃねえか。
「それじゃあ、行ってくるよ。戦勝祝いの美味いメシでも作って待っててくれ、師匠」
「……頑張るのだぞ」
目の前の扉に触れ、魔力を流す。
ゴゴ……ゴゴゴゴゴ……
「さあてと、それじゃあインフェルノゴーレムとやらをさっさと倒して師匠を安心させてやりますか!」
―― ――
「うわあ……でっか」
地下255階層はマグマの海の中に円形の岩が小島のように浮いているステージで、その岩の真ん中で山のように鎮座しているのが、この階層の主であるインフェルノゴーレムだ。
ゴーレムの身体の節々からは、体内の魔力エネルギーが漏れ出ているかのように炎が噴き出ている。
せっかく使えるようになったけど、コイツにオレのファイアーブレスは効かなそうだ。
ギィ、ギギギギ、ギギギギ……
「ココハ、トオサナイ……」
「う、動き出した……!」
てかごめん、通さないっていうか、オレそっち側から来たんだわ。
「よし……いくぞっ!!」
とりあえず一発、右拳に魔力のオーラを纏い、威力を上げてゴーレムを殴ってみる。
ゴンッ!!!!
「か、かったぁっ~!!」
そ、装甲が堅すぎる……!! このまま殴ってたらこっちの拳が先にダメになってしまうぞ……
「ハエデモ、トマッタカ……?」
「めっちゃ煽ってくるなあ……!!」
『インフェルノゴーレムは内部中央にある魔核を破壊することで停止する』
「……って師匠に教わったけど、外側が堅すぎてなあ」
相手の動き自体はかなり遅いので、攻撃を避けつつ、どこかダメージが入る場所を探さなければ……
「チョコマカト、メンドウダ」
「……ん?」
シュババババババ……ボオオオオオオオオオオ!!
「うわあっ!?」
さっきまでゆっくりとした動きでオレを追いかけていたゴーレムだったが、しびれを切らしたのか、彼の身体中の関節、というか結合部分から物凄い量の炎が噴き出し、それがまるで生き物のように方々から襲いかかってきた。
「あ、あぶねえ……火炎に耐性が無かったらやばかったな」
灼熱耐性があるオレですら少し熱いと感じるほどの高温で、師匠……炎神龍クルースニクのファイアーブレスに匹敵するくらいの威力があった。
「モヤシ、ツクシテヤル」
「全身から炎が噴き出るってヤバすぎだろ……内部はどうなってやがんだ」
……いや、待てよ。
あの関節部分から内部の炎が噴き出ているのなら、堅い装甲じゃなくてあの火が出ている部分を集中して攻撃すれば……
「お前の攻略法、分かったかもしれないぜ……!!」
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