第1節
第3話 おいおいおいおい!!!!!!!!マジかよ!!!!!!!
「ぐぁぁ…」
重い瞼を開けた先。そこには濁った色をする夜空と、ビルの路地裏のような場所に居た。
「起きたのね。」
すぐそばには銀髪の少女。
「はっ!!!!!!!」
俺はすぐさま体を起き上がらせると、その少女の胸ぐらを掴み、壁に押さえつける。
「え…え…も、もしかして…そういう…」
「あの女は何なんだ!!!!!!」
俺は赤くなるその銀髪の少女に怒鳴りつけるように問う。
「なんだ…そういう…」
俺は胸ぐらを揺らし、「早く答えろ!!!!!Vみたいな面して…起眞市をあんなにして!!!!!!」
銀髪の少女が、胸ぐらにある俺の手に自身の手を添えると、「まず…離してくれる?」と優しく言う。
「うーん…なんて言えば良いんだろうなー…言うなれば、洗脳?なのかなぁ…」
少女は頭に手を当てて言った。
「洗脳?どう言うことだ?」
「要するに、Vちゃんの体を洗脳したのが、あのネロっていう女だよ!」
「ネロ…?で、でもなぁ!!Vはもう死んだし…亡骸も焼いた!!!!どうやってあの体を…」
「それはね!ネロの能力なんだよ!」
少女は、俺の言葉を遮るように指を一本立てながら言い放つ。
「能力…?」
俺は、少女に顔を近づけて聞き返す。
「死者を蘇生し、洗脳する能力。」
「そ、そんな能力が…!?し、死者を蘇生するなんて…どうやって…!?」
死者蘇生。
そんなのもの、魔法のような存在としか言いようがない。
「うーん…それについてはよくわからないけど…でも、洗脳するには一度、洗脳相手を殺さないといけないんだよね!」
「洗脳相手を…?も、もしかして!!!!!!Vを殺したのってのは…!!!!!」
「そう!!Vちゃんを殺したのは、ネロちゃん、だよ!!洗脳するために、Vちゃんを殺し、そして、そのVちゃんを蘇生して、洗脳。多分、今、ネロは、Vちゃんの中にいると思うな!」
まるで俺が理解したことを喜ぶように、甲高い声を出した。
「じゃ、じゃあ…そのネロっていうやつの洗脳を解けば…Vは元に戻るってことか…?」
少女は、にっこりと笑うと、「その通りー!!!」と俺のことを指さす。
「ほ、本当か!?そ、それは…ほ、本当なのか!?!?」
俺は少女の両肩を再び掴むと、少女に問い詰める。
「ほ、本当だよ!!!ほ…本当だよ〜!!!」
俺は少女の両肩を離し、その場にしゃがみ込む。
「よかった…よかった…!!!!」
希望がまだある…!!!!
ということは、あの洗脳を解けば、Vにまた…!!!
また会える!!!!!
「せ、洗脳を特にはどうすれば良い!?!?」
俺はまた、少女に問いかけると、少女は、「そうだね〜」とゆるそうに首を傾げると、こう言った。
「そうだね〜Vちゃん…いや、ネロの能力によってさぁ、洗脳された人が、まだいろんな世界にいるんだよね。その洗脳された人たちを調べる。そんでもって、能力の弱点を見つけるとか?」
「の、能力の弱点?それで…どうするんだ?」
「能力の解ける薬とか、超音波とかを作り出し、そして、Vちゃんを助ける。二次被害の出ないように、ネロを倒して、終了。って感じかな〜」
Vの洗脳を解くために、戦う…か。
俺のVを…取り返すための冒険か…
いや、冒険になるのか?
「そ、そうか…それじゃあ、Vを救うためだ…洗脳されている奴ら?とやらを見つけに行こうじゃないか!!!」
俺は涙で湿っていた手を握り、少女の前に出す。
「これからよろしくな!!!Vを取り戻すまで、少し付き合ってもらうぜ!!!」
「え……う、うん…良いよ!!」
俺が目の前に拳を差し出すと、その少女は、頬を赤くしながら、グータッチをした。
なぜ頬を赤くしたのかはわからないが…まあ、良いとしよう。
「そういえば…お前の名前は?」
俺は握った拳を下ろすと、少女の顔を見て言った。
「え?ああ…そういえばまだ自己紹介して無かったね!」
少女がそういうと、その少女は、少し起眞市だと浮いて見えるような服の胸元に手を添えて言う。
「私の名前は、
そして、俺も。
「あー…俺の名前はユミーだ!よろしく!!」
両方が自己紹介したことによって、俺は前へと振り向き、路地裏へと光の指す方向を向いた。
「それじゃあ、行こうか!!!」
俺はそういうと、光の方向へ歩き出す。
これから世界中を旅に出るのだろうか?
もしかしたらキツい冒険になるかもしれない。
それでも俺はその冒険の先で待っているVのために…
待ち続けてくれているVのために!!!戦うんだ!!!!!!
って、そういえば、さっき起眞市ネロによって火の海にさせられてたような_____
「は?」
ランプの光が照らす大通り
石を削って作られた道。
車道を通る煙突を生やして蒸気を排出しながら走る蒸気式の車。
そして、まるで200年前のヨーロッパのように、蒸気を使いながら、走る車に混ざって、カラクリのような鳥が空を縦横無尽に飛び回っている。
目は緑色に光ってはいるが、体は木材でできているようだ。
明らかにわかることは、ここが、起眞市ではない…いや、ここが、現代ではないことだった。
「そうそう!!さっき私いろんな世界、って言ったけど、それって
「は?」
「さあ!!
「ま、まじかよ…!!!」
煙突の生えた家々。
蒸気を纏うカラクリが蔓延る車道や歩道。
それらを見て、俺の捻り出した一言は、その、4文字だけだった。
『第2章。1節。起眞市スチームパンク』
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