3−4 ある神様との出会い

「ぼーくのーぼーくのーちーさなーきおくー」

あれ?なんだっけ…この歌。

聞いたことのあるような,ないような…

「きーみとーぼーくでーあーゆんだーぺーじー」

わからない…けど…聞いたら,安心できる…


「ほーそいー ほーそい いーとをたどり」

歌っていた少女はスッと立ち上がった。

「ふったーりでーつーなーぐー」

少女は歌を歌いながら真っ白な空間に横渡っている少年に近寄っていく。

少年は気を失っているのか眠っているのか,目をつぶったまま動かない。

「きおーくのーかけらー」

少女は少年の横にかがみ込んだ。

「ちっいーさなーかけらー」

最後のワンフレーズを歌い終えると,服のポケットから小さな石の入ったパレットを取り出した。

その中から透明な石を取り出す。

それを少年の胸にキュッと押さえつけた。

するとするすると石が少年の胸に入っていった。

「この石は『水晶』。意味は…全てを清め,調和させ,自分の運を最大限にまで引き上げてくれる…」

ふっと息を吐き出して,少年を光で包んだ。

「きっと,あなたに役立ちます……」

そういうと,光が弾け,少年の姿はもうどこにもなかった。

また真っ白でブランコだけある空間に戻る。

ここにいるのは少女1人だけ。生きているものは,きてはいけない場所。

少女はブランコに腰掛けて,また静かに歌い始めた。


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