2−8 秘密の対談

「三花さん」

真夜中。

三花は自分を呼ぶ声に目が覚めた。

(こんな夜中になんなの?もう眠いし…おやすみ)

「三花さん」

二度寝をしようとしたが,また自分を呼ぶ声がしてくる…

(誰なの?もういい…声の主に,やめてって直接言ってやる)

クレームを入れることを決めた三花は起き上がって静かに森の方へ駆け出した。


「三花さん」

森の奥深くへ入っていくと,人がいた。

美奈だ。

「あなたは誰?」

三花は眠くてぼんやりしている目を振って皆の容姿を確認した。

「こんばんは。三花さん。私,美奈。黄花のお姉ちゃんです」

美奈はふわっとしたお砂糖みたいな笑顔で三花に話かけた。

「その美奈さんは,三花になんのようなのー?」

「実はね,黄花が言うには,あなたは親にもう会えないって」

「っ⁉︎」

美奈の言葉に,三花は驚いたように数歩後ずさる。

「そ,そんな,ウソでしょ…」

震える三花を見て,美奈の唇がどんどん吊り上がっていく。

「だから諦めろって」

「い,嫌だ。黄花が…そんなこと…」

「信じられないかもだけど…事実よ」

三花はへたり込む…

「さっ。おいで。光の魂」

美奈がそう唱えると,三花の目から光が消えた。

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