2−7 神様たちの天空

ここは天空。希望の神様やその天使が住んでいる場所…だった。

けど,今はもう闇に染められている。

かつては真っ白なお城は真っ黒に染まり,白い雲までが黒く染まっている。その雲の上を,何人もの悪魔が飛び回っては,白い雲を見つけたら黒く染めていた。

そして今や闇のお城となったお城のとある1室には,一人の少女が座り込んでいた。

腰まで届く長い髪。青っぽい目。パッとみ小学3年生ほどに見える。

少女は窓辺に座り込んで,じっと窓の外の闇に染まった雲の上を眺めていた。

「ひどい…けど…」

少女は自分の足を見た…

鎖で繋がれているため,この部屋内しか動けないようになっている…

少女は小さくため息をついた…

豪華な1室だというのに,少女はただ小さな窓のそばに座り込んでいるだけ。

机に置かれた黒い豪華なドレスには手がつけられていない。

少女は真っ白なワンピースを着ていた。特に装飾のないワンピースだ。

その胸には,青緑色に光り輝くネックレス。

コンコン。

ドアが叩かれる音に,少女は反応したった1つしかないドアを見た。

ドアが開いて,1人の女性が入ってきて机の上,そして窓辺に座り込む少女を見て,唇の端を持ち上げた。

長い黒髪。真っ赤な目。

びっくりするほど美しい人。

「あらぁ。こういうドレスは苦手かしら。じゃぁ別の物を用意しないと」

「絶対に着ないよ。そんな,着たら闇に染まってくドレスなんて」

女性はにんまりと笑って少女に近づいた。

「そうねぇ。風香は希望を見届ける神様だもんねぇ。でも,もう終わりよ」

最後の一言は,とても冷たく言い放たれた。赤い瞳から急に温度が消える。

「もうすぐこの世界から希望はすべて消えるの。そう。あなたがここで闇に染まることでね」

「何を言ってるの?わたしは闇になんて染まらないし,今地上で希望を届ける男の子が黄花とみんなの希望を戻している!お前の計画は絶対に失敗するぞ!暗!」

キッパリと言い切る少女の腕を軽く持ち上げた女性は,小さな少女を高く抱き上げた。

「やっぱりはっきりしてるね。面白い。まぁ今は忙しいからまた後で遊びにくるわね。」

そう言って女性は少女を下ろした。

「もう来なくてもいい。それに,みんなの希望の世界を返せっ!」

「ふふふふふ。あーっはっはっは!何を言っているの?風香,ちゃんと見てみなさい。もうここは闇の世界に変わったの。闇に希望なんていらない」

少女に背を向けて,女性は扉へと向かう。

「それじゃあね。光にも,闇にも選ばれた王女様。ちっちゃな王女様は,一体いつまで耐えれるかなぁ?」

女性は扉を閉めようとする。

「えっ⁉︎ま,まって!」

バタン!

少女1人を残して,扉が閉まった。

少女は自分の膝に顔を埋めた。

真っ暗な世界で,少女の青いペンダントのみ光り輝いていた。


廊下へ出た女性の顔は,ひどく歪んで,くるるしそうな表情だった。

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