2−5 消えた少女の願いとは

「三花はさいな三花。これは本名。そいでね,先ほどヒカリさんに人間かどうか聞いた理由は…」

三花は真剣な顔で話している。

「三花が幽霊だからだよ」

………

「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉︎」

ダダダだって!ゆ,ユーレイ⁉︎

驚きすぎて言葉も出ないよ!

「まぁまぁそんなに怖い幽霊じゃないから」

黄花はなんでもないという顔で,僕の方を叩く。

あぁ。僕,カンカクおかしくなりそう。

「三花は,なんちゃらなんちゃら事件で,ドバーッていきなりバーンってなっちゃった女の子なの!そいでね,ここずーっと,ビャーッて親をバーンって探してたんだよ!」

???

同じクラスの花咲三里も,口下手だったけど,三花の方が数百倍口下手だ。

なんて言っているのか,全くわからない。

けど,黄花には伝わったみたいで,もたれかかっていた木から腰を上げた。

「あーっと。三花が言いたいのは,三花は夜空少女殺害事件で行方不明になってしまった女の子」

黄花のわかりやすい説明に,僕はコクコク頷く。

「三花はこのまま天国へ行く予定だったんだけど…最後に親にバイバイって言いたいって…けど,三花の記憶はところどころ抜け落ちているから,親の居場所がわかんなくて探してたんだって」

話を聞き終えて納得できた気がする?

要するに,三花は親に会いたいってわけだろ?

チラリと三花を見たら,想像以上にしんみりしてしまっている…

「ヒカリ…三花ね,おとーさんとおかーさんに会いたいの…お願い…協力して…」

涙目の三花…この話…なんだか三里の時と似ている…

親に会いたいけど,会えない2人。工程は違うけれど,親に会いたいって気持ちはおんなじなんだな…

自分にも親がいないから,三花の気持ちがわかってしまう…

「わかった…一緒に三花の親を探そう」

そういうと,三花は花が咲くような笑顔になった。

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