第2章 旅の途中で知る真実

2−1 不思議な女の子

キーコ キーコ

ある町の公園で,一人の少女がブランコをこいでいた。

キーコ キーコ

ブランコが揺れるたび,少女の髪がフワッと揺れる。

下を向いているため,顔はよく見えないが口元には微笑みを浮かべている。

キーコ キーコ

ただブランコの音だけが,夜のシンとした公園に深く響く。

「ちょっと!君!」

公園に声が響き渡る。

公園の入り口にいるのは,警察官だ。

「こんな夜中にどうしたの。名前は?」

少女は警察には答えずに,すっと後ろの木に飛び乗った。

「ふふ。ふふふ」

少女は笑い始める。

「君!そんなところに登ったら危ないぞ!降りなさーい!」

「キャハッ!そう言われて,降りると思うの?」

小さい子供のように笑い始める少女に,警察官は慌て始める。

さらに少女は,警察官の方を向いた。

「君!まさか…!」

「やっと気づいたー?キャハハっ!やっぱり今の警察は鈍いね」

「うっうわぁァァァァっ!」

警察が慌てて逃げ去るのを横目に,少女は笑っていた。

「うふふふふ。やっぱり今の警官はトロイな。キャハハっ!遊びがいがありそう…けど…そろそろ行かなくちゃね!」

そういうと,少女は立ち上がった。

月明かりに照らされ,少女のオレンジ色の瞳が強く光る。

「待っててね!黄花!」

少女はそう言って,暗闇の中に,溶けるようにいなくなった。

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