1−10 呪の森
「ラッキーストーンよ。黄花の居場所を教えて!」
僕がそう唱えると,黄花の落としたラッキーストーンが強く光って,いつの間にか,どこかの森にいた。
たくさんの植物で覆い尽くされている。
手に持ったラッキーストーンの光が「こっちだよ」と,みちびいてくれているかのように,どんどん森を照らしていく。
その光を頼りに,僕は歩いた。
そこらじゅうに生えている薔薇のトゲは,僕を避けて近くの泉の水に浸かった。
そうして,10分ほど進んだその時。
ついに開けた場所にでて,人影が見えた。
「いたっ!」
そこにいるのは,美奈さん。三里。そして黄花だ。
黄花はいつの間にか,真っ白なドレスを見に纏っていて,初めて会った時のように,気を失って,美奈さんの腕の中にいる。
「あらぁ。パートナーさん。遅かったですわねぇ」
余裕ぶっている美奈さん。
あの人は強いんだ。もう勝った気でいる。それならまずは…
僕はボゥっと突っ立っている三里に目を移した。
三里からだ!
「ラッキーストーン!導きの手を…」
僕が呪文を言い切る前に,美奈さんが言葉を重ねてきた…
「闇よ…彼に絶望を」
その一言で…
僕の足元にブワッと黒い影ができる…
それにどんどん飲み込まれていった…
ダメだ…もうダメかも…いや!僕が希望を失ってどうするんだ!
「三里!待ってて!助けに行くから!」
僕はそう言って,美里に笑って見せた…
そうしたら,少しだけ,三里の口が動いた気がした
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