1−3 ラッキーストーン
「そう。君,ラッキーストーンって知ってる?」
ラッキーストーン?僕は首を横に振る。
すると黄花は,僕に向かってあるキーホルダーを向けた。半透明な色の綺麗な石と,似ている色のビーズがかかっている。
首を傾げていると,黄花が説明してくれた。
「これはね,ラッキーストーンでは,負を浄化するって意味のある,アパタイトっていう鉱石で作ったラッキーアイテムだよ。君にはこれから,いく先々で出会った希望をなくした人たちに,こーいうのを作って欲しいってわけ」
わかる?と聞いてくる黄花。でも…
「でも…こんなので元気出るの?」
僕は思わず,思ったことを口にしてしまった。しばらくして,しまった!と,口を押さえる。そんな僕を見て,黄花の目が少し光った気がした。
「そう思うんなら,見せてあげる」
そう言って黄花は,腰のカバンから,糸を取り出した。
ヒュッと黄花が息を吸うと,周りの空気がピンと張る。まるで,すぐそばにあった緩んだ糸が伸ばされてまっすぐになるように。
黄花を見ると,左目が,赤く染まっていた。
「感じる…」
何か黄花が呟いた。
「え?何?」
僕が聞くと,黄花がこっちを見る。目は,もう赤くなく,朝方色に戻っていた。
「あー。何もない!」
あれ?なんかいつもと様子が…
そんなの気にせず,黄花はパレットからビーズを取り出す。
ピンと張った糸に,赤いビーズを通してく。そして最後に赤い鉱石を取り付けてキュッと結んだ。
「はい。これ」
渡されたのは,赤いビーズのついた,質素なアクセサリー。
けど,なんだろう。
今まで頑張ったてきたことが,できる!って気持ちになってくるな。
なんでだろう?この石1つで。
ポカンとしていると,黄花はニコッと笑って人差し指を立てた。
「そう。これが,ラッキーストーンの効果。今のは努力を実らせるっていう意味のガーネットだからね」
黄花の心を読んだかのような言葉に,僕は頷く。
確かに,これをうまく使えば,希望を戻せるかもしれない。
実際に今僕は,心ができるぞっていう希望で溢れている。
もしかしたら,いや。もしかしなくても!絶望を希望に変えられるよ!
「そして,ヒカリには素質がある。本番ではきっと,いい石を選べるよ」
「僕に…素質?」
驚いていると,黄花はまっいっか,と肩の力を抜いた。その目がどうするのって言っている。
僕は少し考えこんだ…
「僕で…いいの?」
恐る恐るとう。もしこれで,誰でもいいなんて言われたら…
「うん。君がいい。君じゃないと,できないの。神を信じ,神に信じられている,君しか」
僕が…神様に信じられている?嘘でもめちゃくちゃ嬉しい。あれ?けど黄花って天使だから…本当に⁉︎
それが嬉しいし,ラッキーストーン,やってみたいって思える。
僕は黄花に手を差し出した。
「やる!やらせて!ラッキーストーン!」
そういうと,黄花はにっこり頷いた。
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