似たもの同士

第1話

妹「ねぇ、お姉ちゃん。もしも、もしもだよ。友達の大切なものを壊しちゃったらお姉ちゃんならどうする？」

姉「急にどうしたの？　お母さんが死んだからってお姉ちゃんに善悪の指針を問うような質問しないでよ。それとも何？　少年の日の思い出の感想文の宿題でも出た？」

妹「そういうわけじゃなくて……。なんとなく聞いてみたかったの。お姉ちゃんなら本当のこと言う？」

姉「私は言わない。黙っておく」

妹「一生？」

姉「うん一生。だって、本当のことを言って関係性が壊れるのってなんか嫌じゃん」

妹「……実は私、友達のハムスター殺しちゃったの」

姉「それは故意？　それとも事故？」

妹「両方かな。友達がハムスター飼ってて、勝手に触らないでねって言われてたんだけど、触ってみたくて取り出したら逃げちゃって、探したらベッドの隙間で死んじゃってたの。だから私、新しくハムスター買ってきてケージの中に入れたの」

姉「友達はハムスターが入れ替わったことは知ってるの？」

妹「同じ柄のハムスター買ってきたからわからないと思う」

姉「じゃあ、言わなくていいんじゃない？　正直に言ったところであんたのこと軽蔑するだけだと思うよ？」

妹「本当？」

姉「実例見せてあげよっか。……ちょっと待っててね。はい」

妹「何これ？」

姉「あんたと私のDNA鑑定書。私たち血繋がってないの。本当の妹は私が殺しちゃったから、あんたは育児ノイローゼになってた近所のお姉さんからもらったの」

妹「え？」

姉「今まで黙っててごめんね。お母さんが死んだら言おうと思っててさ。それにしても、私たち血が繋がってないのにいざと言う時の対応方法がまるっきり一緒なのなんかウケるね」